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文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻9号

2015年09月発行

文献概要

特集 診断ピットフォール10選─こんな疾患,見逃していませんか? 【各論❺】

好酸球増多の原因は何だ?

著者: 若林禎正1

所属機関: 1諏訪中央病院循環器科

ページ範囲:P.835 - P.839

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Case : 診断は何か?
患者:32歳,男性.仕事のため中国に在住.現在日本に帰国中.
主訴:胸部の違和感.
既往歴:特になし.
喫煙歴:なし.
現病歴:
 2日前に一過性の右胸の違和感を自覚した.前日に左を下にして寝ると胸痛があり,右を下にすると楽になった.当日,胸痛が増悪し持続した.労作時の呼吸困難も出現し,救急外来を受診.胸痛は深呼吸で増悪し,呼吸がしにくい.
 5歳の長男と砂場で遊ぶことがある.日本の実家で犬を飼育している.
身体所見:血圧122/68mmHg,脈拍数83回/分,体温36.2℃,SpO2 98%(室内気),呼吸数16回/分.心雑音なし,過剰心音なし.呼吸音清.下腿浮腫なし.
検査所見:胸部X線(図1).心電図(図2,図3).心エコー検査では,左室下壁後壁側壁に高度の壁運動低下あり,左室壁は全周性に壁肥厚あり,心囊水の少量貯留あり.
血液検査(異常値):WBC 12,540/μl(Eos 2,880/μl),CPK 313IU/l,Trop-I 1.863ng/ml,BNP 324.4pg/ml(好酸球増多,Trop-I上昇,BNP上昇.他異常なし).

参考文献

1)Florence Roufosse, et al : Practical approach to the patient with hypereosinophilia. J Allergy Clin Immunol 126(1): 39-44, 2010. <好酸球増多の対応がまとめられている.二次性好酸球増多から好酸球増多症候群(HES)まで端的に解説されている>
2)Dana Woodhall, et al : Neglected parasitic infections ; what every family physician need to know. Am Fam Physician 89(10): 803-811, 2014. <プライマリ・ケア医が知っておくべき,重篤になる可能性のある寄生虫疾患について述べられている>
3)Gerald J, et al : The hypereosinophilic syndromes ; current concepts and treatments. Brit J Haematol 145 : 271-285, 2009. <好酸球増多症候群(HES)について,詳しく説明されている>
4)Jared W, et al : Myocarditis ; current trends in diagnosis and treatment. Circulation 113 : 876-890, 2006. <心筋炎について,端的にまとめられている>
5)Robert O, et al : Braunwald's Heart Disease ; a textbook of cardiovascular Medicine. 9th ed. p1576, Elsevier Saunders, Philadelphia, 2012. <循環器の代表的な教科書.好酸球性心筋炎について,病態,検査,治療などに分けて端的にまとめられている>
6)Joseph E P : Heart disease and the eosinophil. N Engl J Med 323 : 1560-1561, 1990. <好酸球性心筋炎についてまとめられている>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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