icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療25巻9号

2015年09月発行

文献概要

特集 診断ピットフォール10選─こんな疾患,見逃していませんか? 【各論❼】

治療後も食思不振が続く

著者: 谷直樹1

所属機関: 1諏訪中央病院呼吸器科

ページ範囲:P.845 - P.848

文献購入ページに移動
Case : 診断は何か?
患者:94歳,女性.
主訴:発熱.
既往歴:胆囊炎以外に特に大きな既往なし.ADLは軽介助で移動可能.
現病歴:受診の7日前に発熱.その後いったん解熱するも,入院の前日に再び38℃の発熱を認め,当院内科外来を受診.体温 38.1℃,SpO2 94%(室内気),胸部CTで右上葉に気管支透亮像を伴う浸潤影を認め(図1),「肺炎」の診断で入院.入院後低酸素血症の進行,血圧低下を認めたため,重症肺炎としてアンピシリン/スルバクタム+レボフロキサシンで治療が開始された.
 その後,発熱・呼吸状態・画像所見は改善したが(図2),倦怠感の訴え,食思不振が続いた.甲状腺機能低下症,電解質異常,薬剤性などの検索,うつ,せん妄の可能性も考慮して介入を行ったが,改善せず.

参考文献

1)Ronald F G, et al:Community-acquired pneumonia and tuberculosis;differential diagnosis and the use of fluoroquinolones. Int J Infecti Dis 18 : 14-21, 2014. <市中肺炎と結核の鑑別におけるポイントについて述べられている>
2)Rodrigo Cavallazzi, et al : Predicting Mycobacterium tuberculosis in patients with community-acquired pneumonia. Eur Respir J 43(1) : 178-184, 2014. <市中肺炎において結核を予測する因子についての報告>
3)吉川充浩,他:肺気腫患者に発症した結核性肺炎の画像上および臨床上の特徴.結核 85 : 453-460, 2010. <肺気腫患者に生じた肺結核の画像所見について述べている>
4)Tun-Chieh Chen, et al:Fluoroquinolones are associated with delayed treatment and resistance in tuberculosis ; a systematic review and meta-analysis. Int J Infect Dis 15 : e211-e216, 2011. <フルオロキノロン系抗菌薬使用が結核診療に与える影響について述べている>
5)赤川しのぶ:高齢者の結核の現状と治療の実際.日老医誌 47 : 165-173, 2010. <高齢者肺結核の特徴について述べている>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら