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文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻1号

2016年01月発行

文献概要

特集 妊婦・褥婦が一般外来に来たら─エマージェンシー&コモンプロブレム 【よくある外来プロブレムとその対応】

妊婦・褥婦の倦怠感・不眠

著者: 榎本小弓1 中野朱美1 森村美奈2

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科 女性診療科 2大阪市立大学医学部附属病院 総合診療センター

ページ範囲:P.39 - P.44

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Case
患者:30代,女性.初診時は初回の自然妊娠6週目.
 以前より,不眠と便秘,胃腸の機能障害に悩まされ,近医内科からベンゾジアゼピン系のフルニトラゼパムと六君子湯を投薬されていた.その後無月経となり,近医産婦人科を受診して子宮内に胎囊が確認され,「妊娠5週相当」と診断されたが,内服中のフルニトラゼパムの休薬に強く抵抗するため,当院での妊娠管理を依頼された.本人の訴えの傾聴から,無理な休薬をせずにフルニトラゼパムを非ベンゾジアゼピン系のゾルビテムに変更し,さらに精神科コンサルトを行った.その結果ゾルビデムを継続することにした.しばらくの間不眠は軽快し,精神状態も安定した状態で妊娠経過も良好であった.しかし,妊娠中期以降に循環血漿量の増加に伴い不眠が再燃,重症化し,フルニトラゼパムに戻した.以後,安定した精神状態で分娩までもちこたえた.

参考文献

1)Lee KA, et al : Longitudinal changes in fatigue and energy during pregnancy and the postpartum period. JOGN nursing 28(2): 183-191, 1999. <妊婦・褥婦の眠気や倦怠感とホルモン変化について述べられている>
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3)Mindell JA, et al : Sleep patterns and sleep disturbances across pregnancy. Sleep Med 16(4): 483-488, 2015. <妊娠中の睡眠障害や睡眠の質について述べられている>
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7)日本産科婦人科学会/日本産科婦人科学会(編):産婦人科診療ガイドライン──産科編 2014.pp75-77, 杏林舎,2014.
8)中井恭子:月経前症候群(PMS)に服用した四逆散エキスが,児の夜泣きに著効した1例.漢方の臨床 59(11): 1938-1940, 2012. <四逆散の内服が,母の心理状態の安定とともに,児の夜泣きの軽減に役立った例の報告>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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