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文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻1号

2016年01月発行

文献概要

特集 妊婦・褥婦が一般外来に来たら─エマージェンシー&コモンプロブレム 【よくある外来プロブレムとその対応】

妊婦・褥婦の慢性疾患管理

著者: 橋本就子1 荒田尚子1

所属機関: 1国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 母性内科

ページ範囲:P.48 - P.52

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Case
産後に発症した“疲れやすさ”
患者:33歳,女性.4カ月前に2,900gの健康な男児を出産,生来健康.
主訴:疲れやすい.
現病歴:1カ月前から疲れやすくなり,外出が億劫になった.1週間前,入浴後に立ち上がれないほどの疲れと胸苦しさがあり,救急病院を受診したところ,脈拍数160回/分の頻脈を指摘された.採血やX線では異常がみられず,自宅で安静にするよう指示されたが,授乳以外は起き上がることもできず, 心配した家人に連れられて当院を受診した.
 診察では,脈拍数110回/分・整,手指の姿勢時振戦と軽度甲状腺腫大を認めた.血液検査ではFT4およびFT3の著明高値と,TSH(thyroid stimulating hormone)レセプター抗体陽性だった.産後に発症したBasedow病と診断し,チアマゾールと無機ヨウ素の内服を開始した.1週間後には甲状腺ホルモンが低下し始め,2カ月後にはFT4が正常化した.自覚症状は,ホルモン数値の改善とともに消失した.

参考文献

1)網野信行,他:妊娠と甲状腺異常.産婦人科治療 100(2): 149-156, 2010.
2)網野信行:産後の甲状腺機能異常症.日本甲状腺学会雑誌 1(1): 39-42, 2010. <妊娠中から産後までの甲状腺疾患についてわかりやすく解説されている>
3)村島温子,他(編):薬物治療コンサルテーション.妊娠と授乳 改訂第2版,pp316-322,pp345-359,南山堂,2014. <妊娠期や授乳期の薬が与える影響について詳細に分析し,総合的評価を示している>
4)村島温子,他:レジデントも知っておきたい母性内科─産科と内科のコラボ.レジデント 5(2): 32-39,2012. <表記したページ以外においても,妊娠に関わる内科疾患について非常によくまとまった内容になっている>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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