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特集 妊婦・褥婦が一般外来に来たら─エマージェンシー&コモンプロブレム 【よくある外来プロブレムとその対応】
妊婦・褥婦の慢性疾患管理
著者: 橋本就子1 荒田尚子1
所属機関: 1国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 母性内科
ページ範囲:P.48 - P.52
文献購入ページに移動産後に発症した“疲れやすさ”
患者:33歳,女性.4カ月前に2,900gの健康な男児を出産,生来健康.
主訴:疲れやすい.
現病歴:1カ月前から疲れやすくなり,外出が億劫になった.1週間前,入浴後に立ち上がれないほどの疲れと胸苦しさがあり,救急病院を受診したところ,脈拍数160回/分の頻脈を指摘された.採血やX線では異常がみられず,自宅で安静にするよう指示されたが,授乳以外は起き上がることもできず, 心配した家人に連れられて当院を受診した.
診察では,脈拍数110回/分・整,手指の姿勢時振戦と軽度甲状腺腫大を認めた.血液検査ではFT4およびFT3の著明高値と,TSH(thyroid stimulating hormone)レセプター抗体陽性だった.産後に発症したBasedow病と診断し,チアマゾールと無機ヨウ素の内服を開始した.1週間後には甲状腺ホルモンが低下し始め,2カ月後にはFT4が正常化した.自覚症状は,ホルモン数値の改善とともに消失した.
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