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文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻1号

2016年01月発行

文献概要

特集 妊婦・褥婦が一般外来に来たら─エマージェンシー&コモンプロブレム 【スペシャル・アーティクル】

妊婦・褥婦をめぐる最近の傾向—高年妊娠・出産,出生前診断

著者: 中西美紗緒1 矢野哲1

所属機関: 1国立国際医療研究センター産婦人科

ページ範囲:P.59 - P.62

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 近年,わが国では社会環境やライフスタイルの変化に伴い,個人のライフコースは多様化し,さまざまな選択ができるにようになった.一方で妊娠・出産については,医学的に男性・女性ともに適した年齢があるといわれている.特に30代半ば頃から,胎児の染色体異常や流産率は上昇し,母児に伴うさまざまな周産期リスクは高くなる.
 近年の晩婚化・晩産化は,出生率の低下と高齢不妊症患者の増加をもたらした.2013年には,無侵襲的出生前遺伝学的検査として「母体血を用いた胎児由来遺伝子の解析」が導入され,出生前診断や遺伝カウンセリングが改めて注目されている.時代の流れに伴い,高年妊娠や生殖補助医療による妊娠・出産の割合は明らかに増加しており,ハイリスク妊娠・分娩として細心の注意を払い,適切な周産期管理を行う必要がある.
 本稿では,妊婦・褥婦をめぐる最近の傾向として,高年妊娠・出産と出生前診断について概説する.

参考文献

1)日本産科婦人科学会(編):産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第3版.p356,日本産科婦人科学会事務局.2013. <産婦人科用語・定義が解説されている>
2)厚生労働省:平成25年版厚生労働白書─若者の意識を探る.pp56-88.厚生労働省,2013. http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/13/ <若者の結婚,出産・子育てに関する意識調査の結果>
3)石橋真輝帆,他:高齢妊娠の産科リスク.産婦人科の実際 64 : 473-479, 2015. <高年妊娠の産科リスクについて記載されている>
4)日本産科婦人科医会: 妊産婦死亡報告事業,2014.http://www.jaog.or.jp/all/document/80_141015_b.pdf <平成22〜25年の妊産婦死亡についての報告書>
5)Kurabayashi T, et al : Pregnancy-induced hypertension is associated with maternal history and a risk of cardiovascular disease in later life. A Japanese cross-sectional study. Maturitas 75 : 227-231, 2013. <日本人女性を対象とした女性の生活習慣と健康に関する疫学調査>
6)Verma A, et al : Insulin resistance syndrome in women with prior history of gestational diabetes mellitus. J Clin Endocrinol Metab 95 : 670-677, 2010. <耐糖能異常妊婦と耐糖能正常妊婦の産後のメタボリックシンドロームの発生率を調査>
7)日本産科婦人科学会,日本産科婦人科医会(編):CQ106-1胎児異常の有無(出生前診断)について問われたら? 産婦人科診療ガイドライン─産科編2014. pp81-83, 2014. <出生前診断の適応や診療における注意事項について記載>
8)梶井正:染色体異常をみつけたら.12.染色体異常の頻度 新生児染色体異常の頻度. http://www.cytogen.jp/index/pdf/12-a.pdf(2015年12月7日現在) <臨床現場での理解の支援を目的に,染色体異常の詳細について記載>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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