icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻11号

2016年11月発行

文献概要

What's your diagnosis?[167]

命名,SJF!

著者: 津村明子1 西脇聖剛2 酒見英太1

所属機関: 1洛和会音羽病院 総合内科 2大阪府済生会吹田病院 消化器内科

ページ範囲:P.898 - P.901

文献購入ページに移動
病歴
患者:乳癌術後フォロー中の64歳,女性.
主訴:1カ月間持続する発熱.
現病歴:転院47日前より寒気と倦怠感を自覚した.45日前より38.8℃の発熱と背部痛をきたしたため近医を受診したところ,「風邪」としてセフェピムを2日間点滴され,解熱薬を処方された.43日前に37.8℃の発熱がありA病院に紹介されたが,症状が軽快傾向にあったため無治療で経過観察となった.41日前からしばらく36℃台で経過し,倦怠感は消失していたが,29日前から37℃台前半の発熱と倦怠感が再発して持続し,24日前の夜には体温が39.5℃まで上昇したため,A病院を再診した.腹部CTで発熱を説明できる明らかな異常はなかったが,食思不振と強い倦怠感を伴ったため,精査加療目的でA病院に入院した.
 入院中,乾性咳嗽,一過性の顔面発赤,背部痛と両上下肢の筋肉痛をきたし,血液検査では,CRP 1.37〜12.4mg/dl,WBC 3,900〜15,400/μl,AST 35〜66U/l,ALP 230〜824U/lで推移した.ESRは48mm/hと軽度上昇し,画像上わずかな心囊水,腹水と一過性の胸水が認められた.血液培養は複数回陰性で,その他の感染症・膠原病・腫瘍に関連する検査では有意な異常は認めなかった.入院中も発熱は持続しており,不明熱の原因精査目的で当科に紹介され,転院となった(図1).
既往歴:アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,左尿管結石で開腹手術(20歳),高血圧症(22歳),脂質異常症,左乳癌で手術と放射線療法(55歳).薬物・食物アレルギーはない.
薬剤歴:ベポタスチン,カンデサルタン,ベニジピン,プラバスタチン,エルデカルシトール,レトロゾール,ロキソプロフェンテープ,エチゾラム,大黄甘草湯.
家族歴:結核や膠原病の家族歴なし.
生活歴:元学校教員.喫煙歴・飲酒歴なし.

参考文献

1)Kishida D, et al : Genotype-phenotype correlation in Japanese patients with familial Mediterranean fever ; differences in genotype and clinical features between Japanese and Mediterranean populations. Arthritis Research and Therapy 16(5): 439-448, 2014. <日本人の家族性地中海熱ではE148Qの変異の頻度が高く,このタイプはアミロイドーシスをきたしにくい>
2)Ben-Zvi I, et al : Familial Mediterranean fever without MEFV mutations ; a case-control study. Orphanet Journal of Rare Diseases 10 : 34-39, 2015. <家族性地中海熱の診断には遺伝子検査が有用だが,変異が検出されない症例もあるので,臨床的診断が必要となる>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら