文献詳細
文献概要
特集 フィジカル改革宣言! ──診断からフォローアップまで 【疾患別極意!コモンの診断・フォローアップはどうしているか?】
—市中肺炎—呼吸数,数えていますか?
著者: 西田幸司1
所属機関: 1堺市立総合医療センター 総合内科
ページ範囲:P.137 - P.140
文献購入ページに移動Case
急速に胸水が貯留した肺炎・胸膜炎の一例
患者:48歳,女性.
現病歴・身体所見:3日前より咳・痰,前日に悪寒を伴う39℃の発熱あり.受診当日より右背部痛を自覚,痛みは深呼吸で増強.
室内気で,呼吸数28回/分,SpO2 93%.胸部聴診では,右背部・側胸部でcoarse cracklesを聴取.また胸部X線で,右下肺野の浸潤影を認めた.
入院後経過:「肺炎・胸膜炎」として抗菌薬の点滴を開始.翌日,呼吸数28回/分,SpO2 92%と改善ないものの,右背部痛は軽減,胸部聴診でもcoarse cracklesは軽減.研修医Aは「痛みはよくなっているし,大丈夫だろう」と判断した.
ところが,その夜,呼吸状態が悪化.呼吸数35回/分,SpO2 88%,右中下肺で呼吸音減弱.胸部X線で,右肺に多量の胸水を認めた.
急速に胸水が貯留した肺炎・胸膜炎の一例
患者:48歳,女性.
現病歴・身体所見:3日前より咳・痰,前日に悪寒を伴う39℃の発熱あり.受診当日より右背部痛を自覚,痛みは深呼吸で増強.
室内気で,呼吸数28回/分,SpO2 93%.胸部聴診では,右背部・側胸部でcoarse cracklesを聴取.また胸部X線で,右下肺野の浸潤影を認めた.
入院後経過:「肺炎・胸膜炎」として抗菌薬の点滴を開始.翌日,呼吸数28回/分,SpO2 92%と改善ないものの,右背部痛は軽減,胸部聴診でもcoarse cracklesは軽減.研修医Aは「痛みはよくなっているし,大丈夫だろう」と判断した.
ところが,その夜,呼吸状態が悪化.呼吸数35回/分,SpO2 88%,右中下肺で呼吸音減弱.胸部X線で,右肺に多量の胸水を認めた.
参考文献
1)Heckerling PS, et al : Clinical prediction rule for pulmonary infiltrates. Ann Intern Med 113(9): 664-670, 1990. <症状・身体所見の5項目を組み合わせた肺炎診断を提唱>
2)Emerman CL, et al : Comparison of physician judgment and decision aids for ordering chest radiographs for pneumonia in outpatients. Ann Emerg Med 20(11): 1215-1219, 1991. <過去に提唱された肺炎診断ツールと医師の独自診断を比較.肺炎診断の感度では後者が良好であった>
3)Metlay JP, et al : Testing strategies in the initial management of patients with community-acquired pneumonia. Ann Intern Med 138(2): 109-118, 2003. <市中肺炎における病歴・身体所見の尤度比のまとめ>
4)Halm EA, et al : Time to clinical stability in patients hospitalized with community-acquired pneumonia;implications for practice guidelines JAMA 279(18): 1452-1457, 1998. <肺炎患者のバイタルサイン安定までの時間を検討.多くは2〜3日で安定>
5)藤本卓司:感染症レジデントマニュアル 第2版.医学書院,2013. <感染症マニュアルであると同時に身体診察の記載も豊富>
掲載誌情報