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それぞれ各論文の要点を示す質問とキーワードで構成されています.
Question
Q1 近世日本の良医,曲直瀬道三・和田東郭・尾台榕堂・浅田宗伯が,“医師の心得”で強調したことは? 198
Q2 たくさんの漢方薬がありますが,通常は何種類くらい必要ですか? 202
Q3 総合診療の場で漢方治療を行う際の注意点は? 205
Q4 どの処方を選択してよいか迷うことがあるのですが? 211
Q5 麻黄含有の漢方で,注意すべき副作用は? 215
Q6 感染症患者に漢方薬を使うポイントは? 220
Q7 起立性低血圧症,末梢循環障害,慢性脳循環障害に推奨された漢方薬を用いた場合,効果判定期間はどの程度か? 223
Q8 顔面皮膚炎で紅斑・浮腫があるのが気になり,不登校やうつ症状になる例が多いが,良い治療法は? 227
Q9 Parkinson病の非運動症状に対する治療法は? 232
Q10 不眠で漢方処方選択の方法は? 239
Q11 冷える時は温める治療をするが,冷えのぼせがある時の漢方治療は? 242
雑誌目次
総合診療26巻3号
2016年03月発行
雑誌目次
特集 こんな時は漢方でしょう!
今月のQuestion & Keyword Index フリーアクセス
ページ範囲:P.197 - P.197
ONE MORE GM
ページ範囲:P.248 - P.249
Q1 漢方薬の名前がわかりにくいのですが.
A1 次のようなものがある.
・構成生薬を示したもの:麻黄附子細辛湯,苓桂朮甘湯など.
・主な構成生薬を示したもの:葛根湯,当帰芍薬散,桂枝茯苓丸など.
・構成生薬の数を示したもの:六味丸,八味地黄丸など.
・効果を示したもの:補中益気湯,清肺湯,温清飲など.
・中国の四神に由来:小青竜湯,白虎湯など.
・その他:神秘湯,女神散など.
・加減を示したもの:葛根湯加川芎辛夷,大柴胡湯去大黄.
・合方を示したもの:四物湯+苓桂朮甘湯(連珠飲).
なお,〜散料は,散薬をエキス顆粒に加工したものを表す.
【漢方診療の達人は語る】
古典にみる良医の姿
著者: 松田邦夫
ページ範囲:P.198 - P.201
漢方医学は,わが国に古く中国より伝来し,特に江戸時代に独自の発展を遂げた(G1).中国を凌ぐ展開をみせて日本化し,多くの良医たちを生んだ.良医とは,いつの時代も病人を治せる臨床医である.当時の良医たち4人を選んで,その診療態度や弟子たちへの教訓を古典から窺い,現代の私たちの参考としてみよう.
総合診療と漢方
著者: 村松慎一
ページ範囲:P.202 - P.204
いま,なぜ漢方か?
漢方薬は天然素材である生薬を組合せて作られており,たとえば,葛根湯は麻黄・葛根・桂枝・芍薬・生姜・大棗・甘草という7種類の植物生薬で構成される.生姜(しょうが)や大棗(なつめ)が食材にもなるように,一般に作用は穏やかである.病原菌を抗菌薬で消滅させ腫瘍を手術で切除する攻撃的な治療に対し,緩徐に生体の抵抗力を高める漢方治療は,交渉により紛争を解決する“熟練の外交官”に喩えられる1).超高齢社会に突入した日本では,複数の慢性疾患を併発している高齢者の総合診療において,漢方薬の適応が増加すると推察される(表1).
漢方薬の多くは生薬を煎じて湯液として服用されてきたが,現在では各生薬から成分を熱水抽出したエキス製剤が市販されており,一定の品質の漢方薬を簡便に使用できる(表2).生薬には複雑な有機化合物が含まれ,その大部分は詳細な作用機序が未解明である.科学的根拠の乏しい古代の観念論に執着する必要はないが,虚実,寒熱,病位,気血水などの基本的な概念を理解すれば,先人の経験則を活用しやすい.
漢方診療の基本中の基本—漢方診療の原則と副作用などの注意点
著者: 岡部竜吾
ページ範囲:P.205 - P.209
診療に漢方治療を取り入れる
❶漢方診療の特徴
漢方医学では,局所の症状は身体全体のアンバランスから生じると考え,身体全体の変化に着目することが多い.例えばアトピー性皮膚炎では,皮膚の局所所見に加え,体力や消化機能,生活習慣などに着目して治療する.また「人間は自然の構成要素のひとつ」と考え,気候変化等に着目して治療することもある.
現代医学では,血液や画像,病理検査等で病態を分析的に診断するが,漢方医学では,病気がもたらす患者の訴えや身体徴候を,総合的にあるいはパターン認識し診断する.そのため患者の愁訴や身体所見は非常に重要で,患者の多彩な訴えも,漢方医学的に納得し傾聴できることが多い.
【漢方コラム】
大塚敬節とウィリアム・オスラー
著者: 岡部竜吾
ページ範囲:P.210 - P.210
大塚敬節先生のエピソード
大塚敬節は,昭和時代を代表する漢方名医である.以下は,本誌の総論をご執筆いただいた松田邦夫先生からお聞きした話である.下記の文献にも記載されている.
松田先生は大塚敬節先生の臨床指導を受けられた.その大塚医院で使用する漢方煎じ薬の約束処方について,他の同門の先生方とお話をした際に,入門の年代が遅くなるにつれ,約束処方の数が減っていることがわかったそうだ.初めの頃60あった約束処方数は,大塚先生が晩年になるにつれ48,36と少なくなっていったようである.洒落っ気の多かった大塚先生は,36処方のうちの7番は七物降下湯,10番は十味排毒湯,18番は先生の「おはこ」の葛根湯としていた.それらから推察すると,「還暦」をきっかけに約束処方を60処方にされ,48はさらに減らそうとして「相撲の四十八手」からとったのではなかろうか? では36処方は? おそらくこれだけの処方を用意して,それでも治らなければ,「36計逃げるにしかず」ということではなかろうか?(松田邦夫:杏林閑話.漢方研究395 : 29, 2004). とは言うものの,実のところは,晩年には少ない数の処方でより多くの患者さんを治療する自信があったのであろう.
漢方医としての生活の律し方—「次なる目標」を求めて励む
著者: 二宮文乃
ページ範囲:P.231 - P.231
私の生活,元気の源
過去とは,生きてきた生活の序言である.現在から未来へのすべてが,これから学ぶ方向である.
ふと立ち止まるのは周囲の方々から,「節目の年」の祝いをしてもらえる時である.「ああ,そんな年齢なったのか」と思うのみで,翌日になれば元通りの生活,次の目標へ向かって思案したり,不明の点は教わったりして,「一歩でも前に進もう」と,頭の中は一杯になる.
中国の中医医療政策について
著者: 喩静 , 中島奈津子 , 石毛敦
ページ範囲:P.245 - P.246
私(喩)が日本に来てから,すでに18年が経った.この間,日本漢方と中国医学(中医学)の違いについて,私はいろいろな方から質問を受けた.最近では,「現在の中医学はまだ50年間の歴史で,本質は過去の中国伝統医薬ではない」という声もあり,こうした声を聞き,21世紀の日本においても案外,中医学について基本的なことを理解されていない方が多いと思った.
本稿では,近代中国の中医医療政策を中心に,日中両国の伝統医学に対する国策と,政府の姿勢の違いを記していきたいと思う.読者の皆様の近代中医学のさらなる理解につながれば幸いである.
【私のイチオシ処方】
消化器疾患—食欲がない時
著者: 佐藤弘
ページ範囲:P.211 - P.214
「食欲がない」あるいは「食事摂取量が少ない」という訴えは,日常よく見る消化器症状の1つである.このような症状は単独で現れることは少なく,他の消化器症状,たとえば胃のもたれ,胸やけ,心窩部痛,下痢など,また非消化器症状として,易疲労倦怠感や気分の変調などの症状を伴うことが多い.こうした患者の症状の治療に際し,悪性腫瘍など原因となりうる器質的疾患の可能性を考慮しながら,漢方治療を行うことが重要である.
食欲不振・食事摂取量不良患者を治療する際の中心的な処方が六君子湯で,人参湯は下痢がある時,補中益気湯は著明な易疲労感が目標となる.
風邪と呼吸器疾患—❶下痢・微熱・嘔気・咽頭痛がある時,❷咳や喀痰が出る時
著者: 皿谷健
ページ範囲:P.215 - P.219
漢方診療は「楽しい」の一言に尽きます.感冒であっても,患者に合わせた治療を試すことができるからです.またツボにはまった時の効き目は,処方する自分が驚くくらいの効果を発揮し,予期していなかった他の部位の不調も改善することもしばしばあります.さらに西洋医学に対する強みは,“冷え”に対する効果をもつ薬剤が多いということです.
感冒は,一般内科で最も遭遇する疾患と考えられます.本稿では,1)感冒性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)と,2)通常の感冒(急性上気道炎)±下気道症状(咳嗽),の2パターンについて記載します.また代表的な症例をもとに,筆者が頻用する漢方薬とチェックポイントなどを記載します.あまり生薬の組成などにはこだわりすぎず,「麻黄に耐えられそうな状態かどうか?(虚証か実証か?)」と,「現在の感冒の病態が,表(発汗,筋肉痛)か裏(消化管)か?」,「腹診」と「舌診」などを参考に決めていきます.
感染症とその周辺
著者: 岩田健太郎
ページ範囲:P.220 - P.222
Case
結核性胸膜炎後の息切れ,易疲労感
患者:70代,女性.
既往歴:過去に「肋膜」をやったとのことだが,詳細不明.
現病歴:半年前から呼吸困難感,易疲労感.左の横腹や背中が痛くなることがある.体重減少,寝汗,発熱はない.夜間咳嗽あり.診察上左呼吸音減弱があり,胸部X線でわずかに左胸水を認める.血液検査で大きな異常なし.炙甘草湯エキス剤2カ月の治療で,呼吸困難感と咳嗽は改善した.
循環器疾患—❶立ちくらみがする・長時間立っていられないという時,❷手足の先が冷えて痛む時,❸高齢者の朝の頭痛
著者: 稲木一元
ページ範囲:P.223 - P.226
起立性低血圧症/起立性調節障害
起立性低血圧症あるいは起立性調節障害には,漢方薬の適応がある.第一選択は半夏白朮天麻湯である.無効な場合,苓桂朮甘湯・五苓散を試みる.いずれもめまいに用い,後者では慢性頭痛を伴う点を使用目標とする.他に,倦怠感の強い例では補中益気湯,若年女性で月経痛があり冷え症の例では当帰芍薬散も選択肢となる.
神経疾患—❶Parkinson病の非運動症状,❷薬物乱用頭痛
著者: 丸山哲弘
ページ範囲:P.232 - P.238
21世紀は「脳の世紀」といわれて久しく,現在多数の科学者により脳機能の解明に全力が注がれている.脳機能の解明とともに神経疾患の病態などの研究が進歩しており,最近の神経疾患の治療は目覚ましいものがある.“不治の病”といわれたParkinson病やAlzheimer病などの神経変性疾患においても病態解明が進み,症状緩和である対症療法から疾患そのものをターゲットにした根治治療に,大きな期待がかかっている.さらに将来的には,遺伝子操作のできる創薬が開発され,疾患撲滅につながることが期待される.
しかしながら,現実に目を向ければ,現在悩んでいる患者をどのように治療してあげればよいのか目の当たりにし奮闘されているのは,現場の医療を支えているプライマリ・ケア医である.神経疾患を診療するなかで,現在使用可能な現代医療をもってしても治療困難を極める愁訴や症状がまだまだたくさんある.しかしたとえ神経難病であっても,プライマリ・ケア医は患者と向き合って,少しでもQOLを高めるために治療しなければならない.
精神科疾患—不眠・不安・抑うつ状態の時
著者: 杵渕彰
ページ範囲:P.239 - P.241
不眠症の第一選択薬は抑肝散である.入眠障害と中途覚醒を伴う場合に用いる.不安感が続く場合には半夏厚朴湯を第一選択とする.
女性の不定愁訴—冷える時
著者: 木村容子
ページ範囲:P.242 - P.244
西洋医学的に,膠原病や甲状腺機能低下症などの明らかな異常がないにもかかわらず,冷えを訴える場合には,漢方治療の適応となる.冷えの部位によって処方が異なる.手足の冷え時は当帰四逆加呉茱萸生姜湯が第一選択となる.その特徴的な症候は,しもやけができやすいことである.腹部の冷えには,大建中湯が第一選択となる.その特徴的な症候は,冷えによる腹痛や腹部ガス貯留である.下半身の冷えには,苓姜朮甘湯が第一選択となる.その特徴的な症候は頻尿や腰痛である.
Editorial
漢方を日常診療にどう取り入れていくか?
著者: 山中克郎
ページ範囲:P.189 - P.189
漢方薬をよく処方する友人に聞くと,劇的な効果を示すことがあるという.私自身は下肢のけいれん性疼痛(こむらがえり)を訴える患者に処方する芍薬甘草湯以外は,未だに劇的効果の実感に乏しい.しかし,「漢方をもっと勉強したい!」という強い想いはある.だから最近は,風邪を引くのが少し楽しみでもある.葛根湯エキス製剤Ⓡをお湯で溶かし,チューブ入り生しょうがを少し入れてグイッと飲むと,翌朝には効果を実感することが確かにある.何とも不思議な心持ちである.そして,病状や時期に応じて葛根湯,小青竜湯,補中益気湯を試してみるのだ.
What's your diagnosis?[159]
青いゾウに遭遇!?
著者: 平島修
ページ範囲:P.193 - P.195
病歴
患者:生来健康の32歳,女性.
主訴:ふらつき,顔色が悪い.
現病歴:来院当日11時ごろ起床.嘔気・ふらつきがあり,再度寝て過ごしていた.12時頃排便と1度の嘔吐.ふらついて倒れ,母親が呼びかけた際,意識がもうろうとしており,数十秒後に意識は戻ったが,顔色が悪かった.病院受診を嫌がり横になっていたが,14時になっても顔色が悪く,母親に連れられて当院受診.
陰性所見:発熱,頭痛,咳,痰,呼吸困難感,下痢,麻痺,しびれ.
常用薬:なし.
生活歴:飲酒なし,喫煙なし.仕事;惣菜屋で準備・販売などの勤務.
Dr.徳田と学ぶ 病歴と診察によるエビデンス内科診断・19
原因不明の身体症状—うつ病か
著者: 徳田安春
ページ範囲:P.250 - P.254
徳田:みなさん,こんにちは.この連載では「臨床疫学」を用いた診断ロジックを学びます.症例に基づきながら,レジデントのみなさんとの対話形式で進めてきました.はやいもので,もう19回の連載を重ねてきましたが,今回で最終回となります.
今回のケースは,「うつ病」疑いの患者さんです.ストレスの多い現代社会で,うつ病の患者さんが増えてきています.しかしながら多くのうつ病患者さんが,その診断がなされないままでいるということが起きています.原因不明の身体症状(medically unexplained symptoms : MUS)を呈する患者さんでは,かなりの割合でうつ病をもっています.うつ病に対する治療を行うと,身体症状が軽快する患者さんもかなりいます.
日本での重要な死亡原因に「自殺」があります.自殺者のうち,かなりの人々がうつ病をもっています.2015年12月から,職場におけるストレスチェック制度が雇用者側に義務化されました(改正労働安全衛生法).ストレスに関係するうつ病患者を発見して早期介入することも,1つの目的となっています.
では,今回の症例をみてみましょう.
みるトレ【最終回】
Case 98
著者: 忽那賢志
ページ範囲:P.255 - P.256
患者:89歳,女性.
既往歴:脳梗塞(10年前,以降寝たきりの状態となり介護老人保健施設入所中),誤嚥性肺炎(半年前,1年前,3年前).
現病歴:数週間前から,「中毒疹」の診断でステロイド軟膏が全身に塗布されていた.
2日前から,38℃の発熱,喀痰の増加および経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下を認めていた.嘱託医によってレボフロキサシン500mg 1日1回が開始されたが,その後も症状が続くため精査加療目的で当院に搬送された.
身体所見:血圧132/84mmHg,脈拍数113回/分,呼吸数18回/分.全身のるいそうを認める.
呼吸音;右下肺野に吸気時のcoarse cracklesを聴取する.
当院に入院後,上肢および体幹を中心とした夜間入眠困難となるほどの全身の掻痒感と,前腕の皮疹(図1),両手掌の角質増殖(図2)を認めた.
臨床の勘と画像診断力を鍛える コレクション呼吸器疾患[47]
労作時の息切れを認め,CA19-9値の上昇を認めた1例
著者: 藤田次郎 , 宮城征四郎
ページ範囲:P.258 - P.265
本連載では,沖縄県臨床呼吸器同好会の症例検討会をもとに,実況中継形式で読者のみなさんに呼吸器内科疾患を診る際のポイントとアプローチ方法を伝授したいと思います.宮城征四郎先生の豊富な臨床経験に基づいたコメントに注目しながら読み進めてください.画像診断のポイントと文献学的考察も押さえています.
それでは早速始めましょう! 今月のテーマは,労作時の息切れを認め,CA19-9値の上昇を認めた79歳男性に対するアプローチです.
憧れのジェネラリストが語る「努力はこうして実を結ぶ!」・13
医師と母親業とのあいだで
著者: 金森真紀
ページ範囲:P.267 - P.267
私の医師人生は,その始まりから,母親業との兼業であった.妊娠7カ月で研修医として働き始め,2カ月後には産休に入り,産後2カ月半で院内保育園に子どもを預けて研修に戻って以降は,ずっと家と病院の間をくるくるバタバタと走り回っている.これが,私が医師になって以来続けていることであり,今回私が皆さんにお伝えできるのは「仕事と家庭」のことについてであろう.
以下,私のワークライフバランスにおいて,心に刻んでいる言葉を紹介したい.
Dr.加藤の これで解決!眼科Q&A相談室・6
前立腺肥大の薬は白内障に悪い?
著者: 加藤浩晃
ページ範囲:P.268 - P.269
今月のQuestion
前立腺肥大の薬であるユリーフⓇやハルナールⓇなどが白内障に悪いということを,某SNSで見ました.
今までこのような話を聞いたことはなく,白内障に本当に悪いのか,悪いとしたらどのように悪いのかについて,教えていただければ幸いです.
GM Library 私の読んだ本
IDATENセミナーテキスト編集委員会(編)『市中感染症診療の考え方と進め方 第2集—IDATEN感染症セミナー実況中継』 フリーアクセス
著者: 川島篤志
ページ範囲:P.271 - P.271
「感染症診療は日本の医療で遅れている分野である」というニュアンスのコメントを見たり聞いたりする人も多いのではないだろうか? 筆者自身も感染症診療や臨床推論に関連する講演で頻用するが,同時にこの数年で感染症診療のボトムアップが進んでいるのを実感する.その最大の貢献者はIDATEN(Infectious Diseases Association of Teaching and Education of Nippon)と言っても過言ではない.もしIDATENという言葉にピンとこない方がおられれば,同研究会のホームページ1)を閲覧するか,周囲の若手医師に「IDATENって何?」と訊かれることをお勧めする.
さて,IDATENは過去にも複数の書籍を刊行している2).それぞれ秀逸であるが,今回はセミナー実況中継風の体裁で,施設内・地域内での感染症診療の質向上に心強い1冊として出版された.セミナーは夏と冬に行われているが,日程やあまりの人気で“狭き門”となっている.サマーセミナーはbasic編と位置づけられているが,「かぜ」を含めたよくある感染症から,比較的稀で対応困難になりかねない疾患・状態への備え(海外渡航帰りの発熱やHIV診療,集中治療),感染症診療の原則や小児診療,予防(ワクチン)についても網羅されおり,大変贅沢なセミナーである.これらがUpdateされ,カラー図表が豊富な書籍として一般公開されたことは,本当にありがたいことである.個人的には,筆者自身が施設責任者として関わった2013年の「IDATENサマーセミナーin福知山」がbaseになっているのも感慨深い3).
Update`16
開業医の,開業医による,全ての医師・医学生のための医学塾「21世紀適々斎塾」がスタート!
著者: 安田英己
ページ範囲:P.272 - P.273
開業医による勉強会・セミナーを開催したい!
現在,巷では製薬会社との利益相反やポリファーマシーなどの問題が起こっています.そのような中,表1(筆者まとめ)のような経緯があり,独立した開業医たちが集まって,「一般社団法人」を創ることにより,個人の勉強会でなく永続できる形で,組織から離れた自由人としての勉強会を始めることになりました.
まずは中西重清(中西内科)・板金広(いたがねファミリークリニック)・松村榮久(松村医院)・馬場広(馬塲病院)・安田英己(安田内科医院)という有志の開業医グループから本勉強会が始まりますが,社団法人ですので,同じ志の開業医と共に引き継いでいけます.また,徳田安春先生(地域医療機能推進機構本部)と上田剛士先生(洛和会丸太町病院救急総合診療科)という素晴らしい先生方にも,後ろ盾になっていただくことができました.
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掲示板 第1回「Point-of-Care超音波研究会」 フリーアクセス
ページ範囲:P.246 - P.246
バックナンバー フリーアクセス
ページ範囲:P.274 - P.274
次号予告 フリーアクセス
ページ範囲:P.276 - P.276
基本情報
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30巻9号(2020年9月発行)
特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【感染症・内分泌・整形外科 編】
30巻8号(2020年8月発行)
特集 マイナーエマージェンシー門外放出—知っておくと役立つ! テクニック集
30巻7号(2020年7月発行)
特集 その倦怠感、単なる「疲れ」じゃないですよ!—筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群とミミック
30巻6号(2020年6月発行)
特集 下降期慢性疾患患者の“具合”をよくする—ジェネラリストだからできること!
30巻5号(2020年5月発行)
特集 誌上Journal Club—私を変えた激アツ論文
30巻4号(2020年4月発行)
特集 大便強ドリル—便秘・下痢・腹痛・消化器疾患に強くなる41問!
30巻3号(2020年3月発行)
特集 これではアカンで!こどもの診療—ハマりがちな11のピットフォール
30巻2号(2020年2月発行)
特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【循環器・消化器・神経疾患編】
30巻1号(2020年1月発行)
特集 総合診療医の“若手ロールモデル”を紹介します!—私たちはどう生きるか
29巻12号(2019年12月発行)
特集 困っている“あなた”に届く 認知症診療
29巻11号(2019年11月発行)
特集 臨床写真図鑑 レアな疾患編—見逃したくない疾患のコモンな所見
29巻10号(2019年10月発行)
特集 教えて!医師のためのビジネス・スキル
29巻9号(2019年9月発行)
特集 “ヤブ化”を防ぐ!—外来診療 基本の(き)
29巻8号(2019年8月発行)
特集 —ノーモア見逃し—日常の検査と画像に潜むピットフォール
29巻7号(2019年7月発行)
特集 リウマチ・膠原病ミミック症例帖—“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”にだまされない!
29巻6号(2019年6月発行)
特集 皮膚科診療エクササイズ—1枚の写真から
29巻5号(2019年5月発行)
特集 一般外来で診断できたら「えっへん!」な疾患38
29巻4号(2019年4月発行)
特集 “ナゾ”の痛み診療ストラテジー|OPQRSTで読み解く
29巻3号(2019年3月発行)
特集 —あなたのギモンに答えます!—循環器診療のハードルを下げるQ&A31
29巻2号(2019年2月発行)
特集 意外な中毒、思わぬ依存、知っておきたい副作用—一般外来で!OTCも処方薬も!
29巻1号(2019年1月発行)
特集 教えて検索!—膨大な医学情報を吟味・整理するスキル
28巻12号(2018年12月発行)
特集 こんなときこそ漢方を!
28巻11号(2018年11月発行)
特集 日本一マジメな「おしっこドリル」—今これだけは押さえておきたい腎・泌尿器のモンダイ
28巻10号(2018年10月発行)
特集 クリニカル・パールPremium!—憧れのカリスマ医師はかく語りき
28巻9号(2018年9月発行)
特集 オンコ・ジェネラリスト—「がん」に強い総合診療医をめざして
28巻8号(2018年8月発行)
特集 80歳からの診療スタンダードUp to Date—Silver Standard
28巻7号(2018年7月発行)
特集 この薬だけは押さえておきたい! 総合診療医のためのSpecialist Drug 40
28巻6号(2018年6月発行)
特集 聴診・触診×エコーで診断推論!—Point-of-Care超音波(POCUS)の底力
28巻5号(2018年5月発行)
特集 “一発診断”トレーニング問題集—懸賞論文「GM Clinical Pictures」大賞発表!
28巻4号(2018年4月発行)
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27巻12号(2017年12月発行)
特集 小児診療“苦手”克服!!—劇的Before & After
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特集 総合診療の“夜明け”—キーマンが語り尽くした「来し方、行く末」
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特集 内科診療を劇的に変える“まとめ”の達人
26巻9号(2016年9月発行)
特集 症状・症候別 エコーを使った診断推論─Point-of-Care超音波
26巻8号(2016年8月発行)
特集 The 初診外来
26巻7号(2016年7月発行)
特集 感染症ケアバンドル・チェックリスト
26巻6号(2016年6月発行)
特集 “賢い処方”と“ナゾ処方”
26巻5号(2016年5月発行)
特集 しびれるんです!─知っておくべきシビレル疾患
26巻4号(2016年4月発行)
特集 ケースとクイズで総ざらい! 街場の2型糖尿病治療
26巻3号(2016年3月発行)
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26巻2号(2016年2月発行)
特集 フィジカル改革宣言! ──診断からフォローアップまで
26巻1号(2016年1月発行)
特集 妊婦・褥婦が一般外来に来たら─エマージェンシー&コモンプロブレム
25巻12号(2015年12月発行)
特集 外来で「複数の疾患」をもつ患者を診る─マルチモビディティの時代のプライマリ・ケア
25巻11号(2015年11月発行)
特集 レアだけど重要な「痛み」の原因─システム1診断学
25巻10号(2015年10月発行)
特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 2
25巻9号(2015年9月発行)
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25巻8号(2015年8月発行)
特集 健診データで困ったら─こんな検査結果を持ってこられたら
25巻7号(2015年7月発行)
特集 ここを知りたい!頭部外傷初期対応・慢性期ケア
25巻6号(2015年6月発行)
特集 高齢者救急の落とし穴─紹介する時,される時
25巻5号(2015年5月発行)
特集 咳を聴きとり,咳を止める
25巻4号(2015年4月発行)
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25巻3号(2015年3月発行)
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25巻2号(2015年2月発行)
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25巻1号(2015年1月発行)
特集 動悸・息切れ─ヤバい病気の見つけ方 そして見つからなかった時の対処法