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雑誌目次

雑誌文献

総合診療26巻4号

2016年04月発行

雑誌目次

特集 ケースとクイズで総ざらい! 街場の2型糖尿病治療

今月のQuestion & Keyword Index

ページ範囲:P.285 - P.285

より早く,より的確に内容をとらえるために,KeywordによるIndexをご利用ください.
それぞれ各論文の要点を示す質問とキーワードで構成されています.

ONE MORE GM

ページ範囲:P.340 - P.340

Q1 インスリンと併用する経口血糖降下薬の注意点を教えてください.
A1 2型糖尿病であるかぎり,ビグアナイド薬の十分量の併用は必須です.メトグルコは成人で最大2,250mg/日までの投与が認められています.注意点としては,下痢や嘔気などの副作用を軽くするため少量(500mg〜1,000mg/日)から開始し増量していくことです.症状が出ても数日で治まることがほとんどなので十分説明しておきます.日本糖尿病学会から適正使用のリコメンデーションが出ていますので一読してください.
 「ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation」1)によれば,❶高齢者(おおむね75歳以上),❷腎機能低下(Cr:男性≧1.3mg/dl,女性≧1.2mg/dl),❸脱水,❹シックデイ,❺アルコール多飲者,❻ショック,心不全,呼吸不全などの患者では,減量または中止を検討します.β細胞機能を保護するインスリンを使用しながら,一方でβ細胞を無理させるSU薬の併用は積極的には考えません.また,α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)も作用が強力とは言えず,ケースバイケースです.DPP-4阻害薬とGLP-1製剤の組み合わせ,SU(スルホニル尿素)薬とグリニド系薬の組み合わせといった,作用機序の重複するものは併用しないことに注意が必要です.

【総論】

—総合診療医がゼッタイ押さえておきたい—2型糖尿病治療の最新知識トップ10

著者: 岩岡秀明

ページ範囲:P.286 - P.291

Case
SU薬による低血糖で遷延性意識障害をきたした一例
患者:75歳,女性.2型糖尿病.
現病歴:近医で糖尿病と診断されて,数年前よりグリベンクラミド(オイグルコン)2.5mg錠×3錠(朝2昼1)を服用し,HbA1c 6.0%であった.血清クレアチニン値は1.0mg/dl.
 数日前より下痢が始まり,食事摂取がふだんの3分の1程度にもかかわらず,グリベンクラミドをそのまま服用.意識障害にて当院救急外来へ搬送され,「低血糖昏睡」と判明し入院した.
経過:治療にもかかわらず遷延性意識障害となり,入院から約3週間後に,車椅子・要介護の状態で療養型病院に転院となった.

【街場のケース&クイズ】

生活指導のみで治療できるケース

著者: 香月彰夫 ,   秋山瞳

ページ範囲:P.292 - P.296

Case ❶
健診で糖尿病を指摘された一例
患者:55歳,男性.
身長160cm・体重68kg,BMI 26.6.
現病歴:1カ月前の健診の結果を持って受診した.結果表には,空腹時血糖145mg/dl,HbA1c 7.2%,尿検査は糖(1+),蛋白(-)と記載されていた.
 1年前の記録では,体重66kg,空腹時血糖115mg/dl,HbA1c 6.5%であった.

経口血糖降下薬を開始・変更・追加するケース

著者: 吉本清巳

ページ範囲:P.297 - P.302

Case ❶
定期的に受診はするが,内服に抵抗がある患者
 あなたは,医師1人の内科クリニックに週1回診療に来ている中堅総合内科医です.あなたの勤務日は,院長は不在です.
患者:69歳,男性.当院には不定期(2〜3カ月に一度)に,胃薬の処方を希望して受診されます.消化管内視鏡や腹部エコーなどの検査を年1回は受けていて,当院には5年くらいかかっています.
現病歴:X年6月に院長が採血し,HbA1cが7.1%でした.5月にも院長がHbA1cを測っていて,その時は7.2%でした.院長はHbA1cが高いのは知っていて,定期的に測っていたようです.経口血糖降下薬は処方されていません.
 あなたの外来には,同9月初旬に胃薬を希望して初めて来られました.6月のHbA1cの結果は聞きに来ておられません.あなたはその結果を説明して採血を強く勧め,血液検査をしたところHbA1cが7.4%でした.過去のHbA1c値の推移を見返すと,X-2年に一時7.3%まで上昇し,その後は食事・運動療法で6%台まで改善,X年3月までは6%台後半で,再度7%を超え出したのは5月からのようでした.
 同9月下旬,2週間後のあなたの外来日に,前回の結果を聞きに受診されました.身長177cm・体重68.5kg,BMI 21.86です.患者さんは血糖値が高いことは認識していて,食事や運動はそれなりに気をつけているとのことでした.「糖尿病の薬は飲みたくない」と言っています.
 
※「図1 病態に合わせた経口血糖降下薬の選択」は,権利者の意向等により冊子体のみの掲載になります.

外来でインスリン導入を行うために

著者: 古垣斉拡

ページ範囲:P.303 - P.309

Case ❶
認知症を伴った高齢の2型糖尿病の一例
患者:75歳,女性.アルツハイマー型認知症(中等度).夫(78歳)と2人暮らしで,夫以外にサポートする家族はいない.本人が嫌がるために介護保険の各種サービスを利用できず,認知症のために食事・運動療法は困難である.
所見:BMI 23.0.随時血糖450mg/dl,HbA1c 15.0%.GAD抗体0.2U/ml,血中CPR(C-peptide immunoreactivity)2.5ng/ml(食後2時間値).
処方:SU薬(スルホニル尿素薬;グリメピリド4mg/日)に加えて,本人に代わって夫が1日1回打ちのインスリン療法(インスリングラルギン15単位/日)を施行しているが,上記所見のように血糖コントロールはきわめて不良である.夫に話を聞くと,インスリンを打つのも,時には内服するのも,本人が嫌がっているようである.
合併症:増殖前網膜症,糖尿病腎症第2期,頸動脈硬化症.

インスリン療法でもコントロール困難な場合の“次の一手”は?

著者: 三澤美和

ページ範囲:P.310 - P.315

Case
混合型インスリン製剤2回打ちで血糖コントロールがよくならない2型糖尿病
患者:58歳,男性.郵便局員.妻と2人暮らし.昨年,禁煙した.
既往歴:54歳で早期大腸癌内視鏡的切除.
家族歴:祖母と弟が糖尿病.弟はインスリン療法中.
現病歴:47歳頃に2型糖尿病と診断され,以来,当クリニックに通院中.51歳で腎盂腎炎を発症,連携病院への入院を機にインスリン導入.その後,インスリン量の調整や生活介入を行うも,コントロールはHbA1c 8〜10%をうろうろし,かつ,時おり予想外の低血糖を起こしてしまうことが頻回に続いている.「低血糖が起こると困るから」と過食気味.
所見:BMI 24.3.随時血糖192mg/dl,HbA1c 9.8%.eGFR(推算糸球体濾過値)76ml/分/1.73m2
処方:
●ノボラピッド30ミックス朝10単位/夕8単位・各食前自己注射
●メトグルコ2,000mg/日
●昼食時;グルファスト1錠食直前内服
●スタチン,降圧薬を併用
合併症:単純網膜症,糖尿病腎症第2期.

比較的元気な80歳以上の糖尿病患者のコントロール目標はどこにあるのか?

著者: 藤原靖士

ページ範囲:P.316 - P.319

Case ❶
訪問診療を開始した95歳女性の糖尿病
患者:95歳,女性.転倒し腰部打撲で通院困難となり,後方病院から訪問診療を依頼された.訪問診療開始1カ月で腰痛軽減し,経口鎮痛薬内服を中止し,室内自力歩行可能となった.娘夫婦との3人暮らしで,主たる介護者は娘.
既往歴:転倒前から,高血圧症,糖尿病,慢性心不全,ペースメーカー挿入後(年2回循環器内科通院),尿管結石・水腎症で腎盂カテーテル留置(定期的に泌尿器科入院でカテーテル交換).
血液検査所見:血圧118/68mmHg,随時血糖値150mg/dl,HbA1c 6.0%,BUN 23.7mg/dl,S-Cr 0.96mg/dl.
処方:アマリール錠 0.5mg 1錠,アクトス錠 15mg 1錠,ジャヌビア錠 50mg 1錠,プラバスタチン 5mg 1錠,アムロジピンOD 2.5mg 1錠,フルイトラン錠 1mg 1錠,以上すべて朝1回.マグミット錠 500mg 2錠,朝夕2回.

糖尿病網膜症がある場合の血糖コントロールの留意点─眼科との連携も

著者: 大野隆一郎

ページ範囲:P.320 - P.325

Case
視力低下を主訴として糖尿病が発覚した一例
患者:54歳,女性.両眼の視力低下が進行したため,近医眼科を受診.白内障の進行を認め,手術目的で当科を紹介受診.以前から健診で血糖値が高いとの指摘があったが,内科で精査した経歴なし.家族歴に糖尿病あり(父).
所見:視力右0.01(矯正不能)・左0.2(矯正不能).両眼ともに進行した白内障と黄斑浮腫を伴う「増殖前糖尿病網膜症」.随時血糖270mg/dl,HbA1c 11.7%.
 仕事をもっているため,視力低下が支障になっている.「早めに何とかしてほしい」.

糖尿病足病変の困難症例にどう対応するか?

著者: 河野茂夫

ページ範囲:P.327 - P.329

Case
難治性足潰瘍の一例
患者:70歳,男性.
現病歴:40歳台頃から2型糖尿病で近医に通院.1年前に,靴ずれから左足(第5中足骨頭部の外側)に潰瘍が出現.10カ月前に近医に入院し,潰瘍が縮小傾向となり退院.退院後に再び潰瘍が大きくなってきたため,2カ月前に再入院した.再入院時も,足の単純X線検査では骨破壊所見などはなし.局所陰圧閉鎖療法を施行されるも潰瘍が治癒しないため,本院へ紹介となる.
紹介時現症:
体温36.5℃.心・肺・腹部に異常なし.
●下肢動脈(大腿,膝窩,足背,後脛骨);触知良好.
●アキレス腱反射;消失.
●振動覚;母趾背側で知覚不能,5.07モノフィラメント;足底で触知不能.
●足潰瘍;左第5中足骨頭部の外側から底部,大きさ2×1cm,深さ1cm(骨に達する:probe-to-bone test陽性).不良肉芽組織(+),排膿や悪臭はない.周囲に軽度腫脹を認めるが,蜂窩織炎の範囲は潰瘍辺縁部より2cm未満.
検査所見:
●主な血液検査所見;白血球6,000/μl,CRP 0.05mg/dl,HbA1c 6.7%.
●単純X線検査;左第5中足骨頭の骨破壊像(+).

3大合併症以外に注意すべき合併症

著者: 渡邉隆将

ページ範囲:P.330 - P.333

Case
定年退職を迎えたコントロール不良の2型糖尿病の一例
患者:70歳,男性.2型糖尿病で定期通院中.妻と2人暮らし.
所見:BMI 27kg/m2.随時血糖160mg/dl,HbA1c 8.2%.
現病歴:運送会社に勤務していたが,60歳で定年退職している.食事は専業主婦である妻がつくったものを食べているが,間食が多いため,これまでHbA1cは9%程度で推移しており,良好とは言えない.
 本日は,いつもと違い妻同伴で来院した.妻からは「最近何を聞いても答えが曖昧で,認知症が心配なのだが大丈夫だろうか」と質問を受けた.
処方:メトホルミン1,000mg分2,1日1回のインスリン療法(インスリングラルギン 20単位).
合併症:増殖前網膜症,糖尿病腎症3B期.糖尿病神経障害なし.

【スペシャル・アーティクル】

医師にもできる栄養指導のコツ

著者: 中山久仁子

ページ範囲:P.334 - P.339

Case ❶
医師の栄養指導のみで改善した一例
患者:56歳,男性.会社員(デスクワーク).
家族歴:父;糖尿病.
既往歴:高血圧で内服治療中.飲酒;ビール350ml毎日,喫煙;20本/日×36年間.
現病歴:5年前から血糖が高めと言われ,今年の健診で受診を強く推奨されたため,受診した.
 身長167cm・体重77kg,BMI 27.6.血圧 140/82mmHg,空腹時血糖196mg/dl,HbA1c 8.2%.食事は朝抜き,昼は会社の食堂,夜は外食が多かった.運動は特になし.
 まず,食事と運動の生活習慣改善のため,外来受診のたびに食事・運動療法の実施確認を行った.食事は1日3食,各食に主食・主菜・副菜を必ず入れ,野菜から食べ始め,ゆっくり噛んで食べるように指導した.運動は,通勤時の駐車場を会社から徒歩20分の所にして,毎日往復40分の歩行を開始した.
 徐々に体重が減少し,1年後には体重71kg,HbA1c 6.8%,さらに1年後には体重66kg,HbA1c 5.8%.薬物療法を要さず,その後3年間HbA1c 5%台を維持している.

Editorial

星の数ほどのpractice based research networkを!

著者: 藤沼康樹

ページ範囲:P.277 - P.277

 たとえば「血糖のコントロールが各種合併症の発症を防ぐ」というような,現在の2型糖尿病治療の基本コンセプトの源流は,英国糖尿病前向き研究(UKPDS)1)の一連の成果にあると言えるだろう.この研究は,英国のアカデミックセンターと地域の一般医・家庭医がガッチリとネットワークを組んだリサーチグループによるものであり,プライマリ・ケアの現場からの研究成果が世界の診療に変化をもたらした代表例と言えるだろう.こうしたプライマリ・ケア現場の診療所群による研究グループを「practice based research network(PBRN)」と呼ぶ.
 そして,僕らは自分たちの家庭医療専門研修プログラムを構成している10カ所の診療所群でPBRNをつくり,3年間にわたる在宅患者さんの前向きコホート研究を実施している.中間のまとめで,すでに興味深いデータが得られている.たとえば,「在宅医療に移行後,生活機能がむしろ改善する患者さんがかなりの率でいる」ということがわかってきた.

What's your diagnosis?[160]

自家薬籠中の鑑別診断

著者: 酒見英太

ページ範囲:P.280 - P.283

病歴
患者:66歳,主婦.甲状腺機能低下症で内服治療中.喫煙・飲酒はしない.
主訴:腰部の間欠的灼熱感と寝汗.
現病歴:受診8カ月前より両鼠径部にピリピリ感があり,次第に歩行困難となったため6カ月前に腰部MRIを撮ったところ,Th 11/12に重度の椎間板ヘルニアを認めたため,他院にて椎弓切除とチタン合金による後方固定術を受けた.以後,歩行はほぼ元通りに改善するも,両鼠径部〜大腿内側にかけての不快感は残っていた.リハビリで酷使した両上肢近位部痛(特に右)は徐々に改善し,受診時は消失している.
 ところが,5カ月前より咽頭痛,3カ月前より全身倦怠感と夕方の微熱,1カ月前より両上臀部の間欠的灼熱感と著明な寝汗が出現し,術後に0.58まで低下していたCRPがじわじわと上がり始めて,1カ月前からは10mg/dl前後で持続した.これらは耳鼻科医院,内科医院で抗菌薬(セフジトレンピボキシル,ファロペネム,クラリスロマイシン)の投与を受けるも,改善しなかった.消化器内科医院における上部消化管内視鏡・大腸内視鏡,産婦人科医院における診察はいずれも異常所見なく,当院内科外来における血液培養2セット陰性,RF/ANA/ANCA検査陰性,胸腹部造影CTで甲状腺右葉囊胞と石灰化子宮筋腫2つを指摘されただけで,原因不明のため,紹介受診した.
 悪寒,食欲不振,体重減少,頭痛,頭皮過敏,視力障害,顎跛行,頸部痛,持続する上肢痛,耳鼻症状,嚥下痛,咳・痰,胸痛,呼吸苦,動悸,腹痛・腹満,便通変化,排尿変化,異常帯下,灼熱感ではない背部痛・腰痛・臀部痛,筋力低下,知覚異常・鈍麻,振戦,ふらつき,関節痛・腫脹,浮腫,リンパ節腫脹,皮疹・出血斑は,いずれもなかった.
既往歴:小学生時に扁摘,61歳時に高脂血症,腺腫様甲状腺腫,64歳時に胃潰瘍にてH.pylori除菌,胃食道逆流症(GERD).薬物・食物アレルギーはない.
薬剤歴:エイコサペンタエン酸,エゼチミブ,レボチロキシン50μ,ラベプラゾール,テプレノン→受診1週間前からレボチロキシンのみとしている(∵1カ月前より肝型ALP↑).
家族歴:母が78歳で大動脈解離(AoD : Aortic Dissection),姉が75歳でリウマチ性多発筋痛症(PMR).

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー! クスリとリスク・1【新連載】

薬剤による浮腫—NSAIDs,Ca拮抗薬,漢方薬

著者: 上田剛士

ページ範囲:P.342 - P.347

症例 患者:80歳,女性.
   主訴:両下腿浮腫.
   既往歴:高血圧,変形性膝関節症,認知症.
   内服薬:ニフェジピン,セレコキシブ,抑肝散.
   心機能,腎機能,肝機能,甲状腺機能に問題はないことから,薬剤性の浮腫が疑われた.
   Q:浮腫をきたす薬剤は多種ありますが,その中でもNSAIDs,Ca拮抗薬,漢方薬は,特によく遭遇する原因薬剤です.NSAIDs,Ca拮抗薬,漢方薬の中でも,浮腫をきたしやすい薬剤と,きたしにくい薬剤はあるのでしょうか?

Dr.加藤の これで解決!眼科Q&A相談室・7

健診で眼圧が高かった時の対応はどうする?

著者: 加藤浩晃

ページ範囲:P.348 - P.349

今月のQuestion
高血圧で当院に受診中の53歳男性が,会社健診の眼圧測定で右が24mmHg,左が23mmHgと,正常の21mmHgよりも高い値だったため,眼科受診をされました.しかし,眼科では「大丈夫」とだけ言われて,眼圧を下げる薬も何ももらわなかったと相談がありました.小生は,眼圧が高いと緑内障になると記憶しておりましたが,眼圧が正常より高かった時の対応はどのようになっているでしょうか?

臨床の勘と画像診断力を鍛える コレクション呼吸器疾患[48]

健診の胸部単純X線写真で異常を指摘された1例

著者: 藤田次郎 ,   宮城征四郎

ページ範囲:P.350 - P.357

本連載では,沖縄県臨床呼吸器同好会の症例検討会をもとに,実況中継形式で読者のみなさんに呼吸器内科疾患を診る際のポイントとアプローチ方法を伝授したいと思います.宮城征四郎先生の豊富な臨床経験に基づいたコメントに注目しながら読み進めてください.画像診断のポイントと文献学的考察も押さえています.それでは早速始めましょう.今月のテーマは,健診の胸部単純X線写真で異常を指摘された32歳男性に対するアプローチです.

レジデントCase Conference

発熱を伴う持続する腹痛を主訴に救急外来を受診した30代女性

著者: 永田恵蔵 ,   仲里信彦

ページ範囲:P.359 - P.361

◆腹痛を主訴に救急外来を受診する患者は多い.腹痛の診療は,問診・身体診察を基本とし,痛みの種類を区別し,鑑別疾患を絞り込む.必要に応じて画像検査を行い,外科的疾患の除外をする必要がある.

GM Library 私の読んだ本

IDATENセミナーテキスト編集委員会(編)『市中感染症診療の考え方と進め方 第2集—IDATEN感染症セミナー実況中継』

著者: 清田雅智

ページ範囲:P.362 - P.362

 大野博司先生(洛和会音羽病院 感染症科)は,研修医時代に評者が指導医として実際に接した勤勉なる先生である.2年次の2002年に抗菌薬の適正使用を目指し,自ら講師になり感染症の院内勉強会を自分で計画立案した.さらには,院外でも夏と冬にその勉強会を自主開催し,それがのちに「IDATEN感染症セミナー」となり,現在も続いている.彼がその準備のために深夜まで資料づくりに励んでいたことを間近で見ていたが,その企画力とバイタリティには深く感銘を受けた(研修医ですよ!).評者はこの感染症の勉強会資料を“贈り物”として受け取っていたが,その内容はさらに発展し2006年,医学書院より『感染症入門レクチャーノーツ』として上梓された.
 その彼の発案で,IDATEN感染症セミナーを2007年1月に飯塚病院で行いたい旨の連絡があった.二つ返事で了承し,評者は幹事として全国80名の医師と学生さんのお世話をさせていただき,今でもIDATENの活動を陰ながら見続けている.その当時の参加者リストは今でも持っているが,現在色々な分野で活躍をされていることに気づき,この活動がもたらした効果を今さらながらに驚いている.飯塚開催のセミナーのスライドも手元にあるが,IDATENが伝えてきた教育のコンテンツのレベルは,2005年メイヨー・クリニック感染症科に留学時のモーニングレクチャーとさほど遜色がないことに気づいていた.この教育内容を活字化した前書(第1集)が2009年に上梓され,評者は当然のように購読したが,セミナーを受講できない人に対する重要なテキストになっているという感想をもっていた.

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バックナンバー

ページ範囲:P.363 - P.363

次号予告

ページ範囲:P.364 - P.364

基本情報

総合診療

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 2188-806X

印刷版ISSN 2188-8051

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30巻3号(2020年3月発行)

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30巻2号(2020年2月発行)

特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【循環器・消化器・神経疾患編】

30巻1号(2020年1月発行)

特集 総合診療医の“若手ロールモデル”を紹介します!—私たちはどう生きるか

27巻12号(2017年12月発行)

特集 小児診療“苦手”克服!!—劇的Before & After

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27巻10号(2017年10月発行)

特集 めまいがするんです!─特別付録Web動画付

27巻9号(2017年9月発行)

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27巻7号(2017年7月発行)

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27巻6号(2017年6月発行)

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27巻5号(2017年5月発行)

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27巻3号(2017年3月発行)

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27巻2号(2017年2月発行)

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27巻1号(2017年1月発行)

特集 総合診療の“夜明け”—キーマンが語り尽くした「来し方、行く末」

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