総合診療26巻4号

2016年04月発行

特集 ケースとクイズで総ざらい！ 街場の2型糖尿病治療 【スペシャル・アーティクル】

医師にもできる栄養指導のコツ

著者： 中山久仁子¹

所属機関： ¹医療法人メファ仁愛会 マイファミリークリニック蒲郡

ページ範囲：P.334 - P.339

Case ❶
医師の栄養指導のみで改善した一例
患者：56歳，男性．会社員（デスクワーク）．
家族歴：父；糖尿病．
既往歴：高血圧で内服治療中．飲酒；ビール350ml毎日，喫煙；20本/日×36年間．
現病歴：5年前から血糖が高めと言われ，今年の健診で受診を強く推奨されたため，受診した．
　身長167cm・体重77kg，BMI 27.6．血圧 140/82mmHg，空腹時血糖196mg/dl，HbA1c 8.2％．食事は朝抜き，昼は会社の食堂，夜は外食が多かった．運動は特になし．
　まず，食事と運動の生活習慣改善のため，外来受診のたびに食事・運動療法の実施確認を行った．食事は1日3食，各食に主食・主菜・副菜を必ず入れ，野菜から食べ始め，ゆっくり噛んで食べるように指導した．運動は，通勤時の駐車場を会社から徒歩20分の所にして，毎日往復40分の歩行を開始した．
　徐々に体重が減少し，1年後には体重71kg，HbA1c 6.8％，さらに1年後には体重66kg，HbA1c 5.8％．薬物療法を要さず，その後3年間HbA1c 5％台を維持している．

参考文献

1）農林水産省：食事バランスガイド． http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/kakudaizu.html

2）日本糖尿病学会（編）：科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2013．pp31-40，南江堂，2013.

3）American Diabetes Association :（4） Foundations of care ; education, nutlition, physical activity, smoking, cessation, psychological care, and immunization. Diabetes Care 38 : S20-30, 2015.

4）Liu S, et al : Dietary glycemic load and atherothrombotic risk. Curr Atheroscler Rep, 4（6）: 454-461, 2002.

5）ヘルスプランニングあいち：手ばかり栄養法．http://www.foodmodel.com/category04/f_50.html