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文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻5号

2016年05月発行

文献概要

What's your diagnosis?[161]

ご利益のない護符

著者: 笹井恒雄1 長野広之1 石丸裕康1 八田和大1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院総合内科

ページ範囲:P.368 - P.371

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病歴
患者:69歳,男性.
主訴:意識障害.
現病歴:X-1年4月頃より軟便・鮮血便を認めるようになり,X年1月の大腸内視鏡検査を契機に直腸癌(StageⅣ)の診断に至った.X年3月よりFOLFIRI(レボホリナート/フルオロウラシル/イリノテカン)+BEV(ベバシズマブ)治療が開始となっていた.
 X年6月9日にFOLFIRI+BEV(8コース目)が施行された.6月10日昼過ぎより頻回の嘔吐を認めるようになり,夕方からは食事摂取が困難となった.6月11日朝方には呼びかけに対する反応が不良となったため,当院救急外来受診となった.
既往歴:器質化肺炎(62歳),頸椎亜脱臼骨折(64歳),左鼠径ヘルニア手術(67歳).
アレルギー歴:なし.
薬剤歴:プレドニゾロン(2mg),アザチオプリン(50mg),レバミピド,アレンドロン酸.
喫煙歴:20〜62歳まで30本/日(器質化肺炎を契機に禁煙).
飲酒歴:日本酒3合/日.
生活歴:農業を営んでおり,妻と2人暮らし.
家族歴:母親・甥にくも膜下出血.

参考文献

1)庄司広和,他:5-FUが原因で考えられる高アンモニア血症を来した切除不能大腸癌に対してFOLFOX療法を継続し得た1例.癌と化学療法 37(8) : 1583-1586, 2010.
2)清水哲也,他:mFOLFOX6療法後に5FUに起因する高アンモニア血症をきたした1例.日臨外会誌 74(5): 1162-1167, 2013.
3)水谷政之,他:FOLFOX療法中に原因不明の意識障害と乳酸アシドーシスを来した症例.日本救急医学会関東地方会雑誌 31 : 140-141, 2010.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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