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文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻5号

2016年05月発行

文献概要

特集 しびれるんです!─知っておくべきシビレル疾患 【限局した部位のしびれ─単神経炎を中心に】

手がしびれます

著者: 太田英之1

所属機関: 1名古屋掖済会病院 整形外科・リウマチ科

ページ範囲:P.378 - P.382

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Case
正中神経領域外にもしびれを自覚する手根管症候群
患者:73歳,女性.
現病歴:1カ月くらい前から右手のしびれが出現した.明け方から朝にかけて症状が強く,しびれと痛みを感じることも多く,明け方目が覚めることもしばしばである.最近になりしびれの程度は強くなり,明け方目が覚める頻度も増えてきているとのことで来院した.来院時には母指から環指の知覚鈍麻を認めたが,指の運動障害は認めなかった.たまに小指にもしびれを感じることがあるという訴えもあったが,神経伝導速度検査の結果,正中神経の神経伝導速度の低下を認めたため,手根管症候群と考え,整形外科専門医に紹介した.保存治療にて症状は軽快しているが,再発や症状進行の可能性もあるため,引き続き整形外科で経過観察を受けている.

参考文献

1)Zanette G, et al : Central sensitization in carpal tunnel syndrome with extraterritorial spread of sensory symptoms. Pain 148(2): 227-236, 2010. <手根管症候群の患者の中でも,中枢神経感作をきたしている症例では,小指にまで知覚異常を高率に認めると報告されている>
2)Yemisci OU, et al : Ulnar nerve conduction abnormalities in carpal tunnel syndrome. Muscle Nerve 44(3): 352-357, 2011.
3)浜田良機,他:手根管症候群の治療法について─保存療法を中心として.日本手の外科学会雑誌 28(3): 167-170, 1986. <臨床症状と身体所見によって手根管症候群をGrade分類し,その治療経過について報告したもの>
4)原友紀,他:特発性手根管症候群治療の現況─アンケート結果より.日本手の外科学会雑誌 25(5): 580-585, 2009. <手根管症候群に関する学会発表をした医師に対してアンケート調査を行い,その結果を報告したもの>
5)立石昭夫:胸郭出口症候群の診断と治療.日本整形外科学会雑誌 54(8): 817-827, 1980.
6)Urschel HC : Management of the thoracic-outlet syndrome. N Engl J Med 286(21): 1140-1143, 1972.
7)Upton AR, et al : The double crush in nerve entrapment syndromes. Lancet 2(7825): 359-362, 1973. <Double crush syndromeに関する仮説について報告した論文>
8)成澤弘子,他:多発性絞扼性神経障害─肘部管症候群に合併した手根管症候群,後骨間神経症候群症例の検討.末梢神経 17(2): 299-300, 2006. <肘部管症候群の2割に手根管症候群が,臨床症状のない潜在的な手根管症候群を含めると4割近く合併していると報告されている>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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