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文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻6号

2016年06月発行

文献概要

特集 “賢い処方”と“ナゾ処方” 【ケース別“賢い処方”と“ナゾ処方”】

使ってはいけない!抗菌薬,なくてもよいのではないか?という抗菌薬—「処方を憎んでクスリを憎まず」

著者: 忽那賢志1

所属機関: 1国立国際医療研究センター 国際感染症センター,国際診療部

ページ範囲:P.478 - P.480

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あるあるナゾ処方Case
抗菌薬の不適切処方による死亡例
患者:30歳台,男性.
現病歴:3週間前から,鼻汁・咽頭痛が出現した.その翌日から咽頭痛が増強し,咳嗽も伴うようになってきた.職場の上司から「クラビットという抗菌薬がよく効くから,もらってこい」とアドバイスされ,近医を受診した.近医では,「最近は,クラビットよりいい薬があるから」と言われ,ジェニナックを1週間分処方された.ジェニナックを内服している間に,鼻汁・咽頭痛・咳嗽は改善した.
 ところが,1週間前から発熱と腹痛・下痢(1日10回以上の水様便)が出現するようになり,再び近医を受診した.簡単な問診のうえ,「もっとよく効く抗菌薬があるから,今度はこっちにしてみよう」と言われ,オラペネムを処方された.その後も発熱と腹痛・下痢は続いたが,年度末のため仕事をどうしても休めず受診できなかった.職場に出勤してこないため上司が自宅に様子を見にいくと,患者は布団の中で死亡していた.
 剖検が行われたところ,死因はクロストリジウム-ディフィシル感染症(Clostridium difficile infection:CDI)による巨大中毒結腸症と麻痺性イレウスであった.

参考文献

1)Guerrant RL, et al : Practice guidelines for the management of infectious diarrhea. Clin Infect Dis 32(3): 331-351, 2001.
2)Cunha BA : Antibiotic Essentials 2015, 14ed. Jaypee Brothers Medical Publishers, 2015.
3)忽那賢志:「だいたいウンコになる」抗菌薬にご用心.日経メディカルAナーシング,2015. http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/anursing/kutsuna/201512/545029.html(2016年5月10日現在)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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