文献詳細
文献概要
特集 感染症ケアバンドル・チェックリスト 【不明熱および敗血症ケアバンドル・チェックリスト】
院内不明熱患者の診断・治療
著者: 成田雅1
所属機関: 1沖縄県立中部病院感染症内科
ページ範囲:P.560 - P.564
文献購入ページに移動入院時に感染症は存在しなかった患者─入院中に38.3℃以上の発熱が数回出現し,2日間の培養検査も含め,3日間の入院精査でも原因不明の時のアプローチ
Case
見逃された偽膜性腸炎
患者:72歳,男性.
主訴:食思不振.
既往歴:前立腺肥大.
現病歴:耕うん機に両足を巻き込まれ,下肢切断は免れたものの,壊死組織の外科的除去,植皮術を施行.創部よりMRSA,多剤耐性緑膿菌が検出され,バンコマイシン,メロペネムを3週間使用した.その後食思不振,発熱(38.5℃),腹部膨満感出現.経過観察していたが,症状改善せず.尿培養ともに大腸菌(ESBL産生)が検出されたことから,「尿路感染症」と診断され,再度メロペネムが投与された.この時CDトキシン検査を施行するも陰性.37℃台の発熱が持続した.全身浮腫(anasarca),腹部CT上腹水貯留が認められた.白血球45,000/μlまで増加,腹腔内膿瘍が疑われ開腹ドレナージが施行されるも,多核白血球を認めるのみで,培養結果は陰性.その後ショック状態となり,集中治療室へ転床.全身状態は改善せず,持続透析を行い,昇圧剤を使用するも死亡.剖検所見にて大腸全体の偽膜を認めた.
Case
見逃された偽膜性腸炎
患者:72歳,男性.
主訴:食思不振.
既往歴:前立腺肥大.
現病歴:耕うん機に両足を巻き込まれ,下肢切断は免れたものの,壊死組織の外科的除去,植皮術を施行.創部よりMRSA,多剤耐性緑膿菌が検出され,バンコマイシン,メロペネムを3週間使用した.その後食思不振,発熱(38.5℃),腹部膨満感出現.経過観察していたが,症状改善せず.尿培養ともに大腸菌(ESBL産生)が検出されたことから,「尿路感染症」と診断され,再度メロペネムが投与された.この時CDトキシン検査を施行するも陰性.37℃台の発熱が持続した.全身浮腫(anasarca),腹部CT上腹水貯留が認められた.白血球45,000/μlまで増加,腹腔内膿瘍が疑われ開腹ドレナージが施行されるも,多核白血球を認めるのみで,培養結果は陰性.その後ショック状態となり,集中治療室へ転床.全身状態は改善せず,持続透析を行い,昇圧剤を使用するも死亡.剖検所見にて大腸全体の偽膜を認めた.
参考文献
1)Bleeker-Rovers CP : Fever of Unknown Origin. Harrison's Principles of Internal Medicine. 19th ed. pp135-142, McGraw-Hill Professional, 2015.
2)Cunha BA : Nosocomial Fever of Unknown Origin. In : Cunha BA(ed): Fever of Unknown Origin. pp101-108, Informa Healthcare, New York, USA, 2007.
3)Knockaert DC, et al : Fever of unknown origin in adults ; 40 years on. J Intern Med 253(3): 263-275, 2003.
4)WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care First Global Patient Safety Challenge Clean Care is Safer Care. 2009.
5)Engel : Fever and Rash in Critical Care. In : Cunha BA(ed): Infectious Diseases in Critical Care Medicine. 3rd ed. pp19-48, Informa, New York, 2009.
6)Wright WF : Fever of Unknown Origin Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases. 8th ed, Saunders, 2014.
7)Shaw JA, et al : Febrile response after knee and hip arthroplasty. Clin Orthop Relat Res 181-189, 1999.
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