icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻7号

2016年07月発行

文献概要

特集 感染症ケアバンドル・チェックリスト 【不明熱および敗血症ケアバンドル・チェックリスト】

HIV関連不明熱(FUO)患者の診断・治療

著者: 岡秀昭1

所属機関: 1JCHO東京高輪病院感染症内科

ページ範囲:P.571 - P.574

文献購入ページに移動
Case
IRISによるサイトメガロウイルス腸炎と診断されたHIV-FUO
患者:35歳,日本人男性.MSM(men who have sex with men).海外渡航歴なし.
既往歴:B型肝炎,梅毒.
現病歴:3週間続く咳と息切れ,発熱で外来受診し,HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症,ニューモシスチス肺炎の診断となった.診断時HIV-RNA 120,000,CD4値20.
ST合剤とステロイド投与を3週間行い,軽快.
その後にツルバダ+テビケイによるART(antiretrovial therapy)を開始したところ,投与開始1週後から38℃の発熱が10日ほど持続している.アジスロマイシンとST合剤の予防内服を行っている他に常用薬はない.
 発熱・倦怠感に加え,軽度の嚥下時痛と下痢,腹痛を認めた.
 身体所見は,口腔内の白苔なし,表在リンパ節腫大なし,胸部・腹部所見異常なし,発疹なし,陰部肛門に所見なし,神経学的所見異常なし,眼底所見異常なし.
 CD4値50未満で,ART開始後の不明熱であり,サイトメガロウイルス感染,クリプトコッカス症,抗酸菌症などIRIS(immune reconstruction inflammatory syndrome)と考えた.
 胸部X線や胸腹部CTでは異常なく,クリプトコッカス抗原陰性.サイトメガロウイルスアンチゲネミアの増加があったことから,消化器症状と併せてサイトメガロウイルス腸炎を疑い,上部(図1)・下部(図2)消化管内視鏡施行.病変部の生検結果からサイトメガロウイルス腸炎と診断.バリキサ内服とARTを継続し軽快した.

参考文献

1)青木眞:レジデントのための感染症診療マニュアル(第3版).医学書院,2015.
2)安岡彰:HIV感染症に合併する日和見感染症の現状.日内会誌 98(11): 2814-2821, 2009.
3)岩田健太郎(編):HIV/AIDS患者のトラブルシューティングとプライマリ・ケア.南山堂,2013.
1)HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班:抗HIV治療ガイドライン.厚生労働省科学研究費補助金エイズ対策研究事業,2016.
2)日本結核病学会予防委員会・治療委員会:潜在性結核治療指針.日本結核病学会,2013.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら