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特集 感染症ケアバンドル・チェックリスト 【不明熱および敗血症ケアバンドル・チェックリスト】
HIV関連不明熱(FUO)患者の診断・治療
著者: 岡秀昭1
所属機関: 1JCHO東京高輪病院感染症内科
ページ範囲:P.571 - P.574
文献購入ページに移動IRISによるサイトメガロウイルス腸炎と診断されたHIV-FUO
患者:35歳,日本人男性.MSM(men who have sex with men).海外渡航歴なし.
既往歴:B型肝炎,梅毒.
現病歴:3週間続く咳と息切れ,発熱で外来受診し,HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症,ニューモシスチス肺炎の診断となった.診断時HIV-RNA 120,000,CD4値20.
ST合剤とステロイド投与を3週間行い,軽快.
その後にツルバダⓇ+テビケイⓇによるART(antiretrovial therapy)を開始したところ,投与開始1週後から38℃の発熱が10日ほど持続している.アジスロマイシンとST合剤の予防内服を行っている他に常用薬はない.
発熱・倦怠感に加え,軽度の嚥下時痛と下痢,腹痛を認めた.
身体所見は,口腔内の白苔なし,表在リンパ節腫大なし,胸部・腹部所見異常なし,発疹なし,陰部肛門に所見なし,神経学的所見異常なし,眼底所見異常なし.
CD4値50未満で,ART開始後の不明熱であり,サイトメガロウイルス感染,クリプトコッカス症,抗酸菌症などIRIS(immune reconstruction inflammatory syndrome)と考えた.
胸部X線や胸腹部CTでは異常なく,クリプトコッカス抗原陰性.サイトメガロウイルスアンチゲネミアの増加があったことから,消化器症状と併せてサイトメガロウイルス腸炎を疑い,上部(図1)・下部(図2)消化管内視鏡施行.病変部の生検結果からサイトメガロウイルス腸炎と診断.バリキサⓇ内服とARTを継続し軽快した.
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