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特集 The 初診外来 【初診の心得】
わが国における初診外来の全体像
著者: 竹島太郎1
所属機関: 1自治医科大学 地域医療学センター
ページ範囲:P.638 - P.640
文献購入ページに移動 わが国では,国民皆保険制度により,誰もが医療機関を自由に選択しフリーアクセスで受診できる.200床以上の病院の初診では紹介状がない場合に特定療養費(非紹介加算)を徴収するものの,診療所,小規模病院から大規模病院に至るまで,医療機関の規模に関係なく,ほとんどの医療機関で初診患者の診療を行っている.
福井ら1)の報告では,わが国の一般住民において,1カ月に87%が体調異常を訴え,31%が診療所を,9%が病院を,0.6%が大学病院を受診する(図1).初診患者の主訴・診断名に関する報告は数例あり,医療機関の規模によって,患者の種類や頻度が異なるようである.本稿では,5つのへき地診療所を受診した4,495例2),小規模病院総合診療科を受診した1,515例3),東京都内の臨床研修病院総合診療科を受診した1,950例4),大学附属病院総合診療部を受診した4,558例5)のデータを参考に,わが国における初診外来の全体像を鳥瞰し紹介する.
福井ら1)の報告では,わが国の一般住民において,1カ月に87%が体調異常を訴え,31%が診療所を,9%が病院を,0.6%が大学病院を受診する(図1).初診患者の主訴・診断名に関する報告は数例あり,医療機関の規模によって,患者の種類や頻度が異なるようである.本稿では,5つのへき地診療所を受診した4,495例2),小規模病院総合診療科を受診した1,515例3),東京都内の臨床研修病院総合診療科を受診した1,950例4),大学附属病院総合診療部を受診した4,558例5)のデータを参考に,わが国における初診外来の全体像を鳥瞰し紹介する.
参考文献
1)Fukui T, et al : The ecology of medical care in Japan. JMAJ 48(4): 163-167, 2005. <住民1,000人の1カ月間の受療行動について述べられている>
2, 山田隆司,他:日常病・日常的健康問題とは──ICPC(プライマリ・ケア国際分類)を用いた診療統計から(第1報). プライマリ・ケア 23(1): 80-89, 2000. <へき地診療所における頻度の高い健康問題について述べられている>
3)Takeshima T, et al : Reasons for encounter and diagnoses of new outpatients at a small community hospital in Japan ; an observational study. Int J Gen Med 5(7): 259-269, 2014. <小規模病院総合診療科を受診した初診患者の主訴と診断名について述べられている>
4)岡本朋,他:総合診療科外来における頻度の高い症状──臨床研修の到達目標についての検討.プライマリ・ケア 30(2): 197-204, 2007. <臨床研修病院総合診療科外来を受診した初診患者の頻度の高い症状について述べられている>
5)山城清二:総合診療の活躍の場──大学総合診療部,総合診療のcore valueと活躍の場──総合診療の総論から各論へ.総合診療医 10(1): 61-67, 2005. <大学附属病院総合診療部外来における頻度の高い主訴および入院患者の診断名について述べられている>
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