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特集 The 初診外来 【初診の心得】
—15分で行う!—初診外来で聞くべきこと・なすべきこと
著者: 鈴木富雄1
所属機関: 1大阪医科大学附属病院 総合診療科
ページ範囲:P.641 - P.645
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患者:78歳,女性.
現病歴:かかりつけ医からの紹介状を持って外来を受診.紹介状には「半年前から全身倦怠感が出現,ここ2カ月間で3kgの体重減少があり,悪性腫瘍の除外のために上部消化管内視鏡やCTなどの画像検査を含む精査をお願いします」と記載があった.
診察室では,最初は本人もあまり話してくれず,ただ「検査を希望する」としか言わなかったが,解釈モデル(後述)を具体的に聞いたことが契機となり,認知症の夫と2人暮らしで,夫の介護のために疲労がかなり蓄積していることが判明した.さらに,軽度の抑うつ気分と興味の減退もあることがわかり,うつ状態への医学的対応や,近くに住んでいる娘の力を借りるなどの介護負担を軽減する方法も含め,心理社会的側面からのアプローチも頭に置いて診療を進めることとした.
患者:78歳,女性.
現病歴:かかりつけ医からの紹介状を持って外来を受診.紹介状には「半年前から全身倦怠感が出現,ここ2カ月間で3kgの体重減少があり,悪性腫瘍の除外のために上部消化管内視鏡やCTなどの画像検査を含む精査をお願いします」と記載があった.
診察室では,最初は本人もあまり話してくれず,ただ「検査を希望する」としか言わなかったが,解釈モデル(後述)を具体的に聞いたことが契機となり,認知症の夫と2人暮らしで,夫の介護のために疲労がかなり蓄積していることが判明した.さらに,軽度の抑うつ気分と興味の減退もあることがわかり,うつ状態への医学的対応や,近くに住んでいる娘の力を借りるなどの介護負担を軽減する方法も含め,心理社会的側面からのアプローチも頭に置いて診療を進めることとした.
参考文献
1)箕輪良行,他:医療現場のコミュニケーション.医学書院,1999. <医療現場でのコミュニケーションに関する具体的で実践的な解説で示唆に富む>
2)Peterson MC, et al. : Contributions of the history, physical examination, and laboratory investigation in making medical diagnoses. West J Med 156(2): 163-165, 1992. <初診外来80人の患者のうち,病歴のみで診断がついたのは76%で,病歴聴取の重要性を確認できる>
3)飯田淳子:「手当て」としての身体診察──総合診療・家庭医療における医師-患者関係.文化人類学 77(4):523-543,2013. <身体診察のもつ意味に文化人類学者が挑んだ質的研究.示唆に富み,すべての医師に一読をお勧めする>
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