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文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻8号

2016年08月発行

特集 The 初診外来

【初診のみかた】

上気道症状

著者: 岸田直樹1

所属機関: 1一般社団法人 Sapporo Medical Academy

ページ範囲:P.651 - P.655

文献概要

Case
「かぜ」と言われて薬をもらったがよくならないため受診した一例
患者:42歳,女性.特に基礎疾患なし.
現病歴:2日前からかぜ症状があり,近医を受診したところ「かぜ」と言われ,PL配合顆粒(総合感冒薬)とブルフェン(NSAIDs:非ステロイド性抗炎薬)などを処方されるも改善しないため受診した.「かぜはウイルス性上気道感染症で,そのウイルスを死滅させる薬は現代医療をもってしてもありません.つまり,かぜに効く薬はなく,薬はあくまで症状緩和目的で,内服してもはやくよくなるとか,こじらせなくなるとかいうことはありません」と,いつもの説明をするつもりで診察した.
 「かぜって,具体的にどんな症状ですか?」と聞いたところ,3日前から悪心・嘔吐・腹痛があり,下痢と倦怠感がよくならないと言う.いわゆる「かぜ(ウイルス性上気道感染症)」と言える症状は全くなく,強いて言えば「お腹のかぜ(ウイルス性胃腸炎)?」と前医に言われたのを患者さんが「かぜ」と勘違いしたのかと考えたが,総合感冒薬が処方されている.「何でもかぜと診断し,しかも総合感冒薬を処方する」という“かぜ診療”の現状を肌で感じ,患者説明に苦慮した貴重な症例であったが,決して稀ではない.

参考文献

1)岸田直樹:総合診療医が教える よくある気になるその症状 レッドフラッグサインを見逃すな.じほう,2015.
2)Bisno A : Acute pharyngitis. N Engl J Med 344(3): 205-211, 2001.
3)Matthys J, et al : Differences among international pharyngitis guidelines ; not just academic. Ann Fam Med 5(5): 436-443, 2007.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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