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文献詳細

雑誌文献

総合診療26巻8号

2016年08月発行

文献概要

特集 The 初診外来 【初診のみかた】

発熱

著者: 中村権一1

所属機関: 1飯塚病院

ページ範囲:P.665 - P.669

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Case
伝染性単核症様症状を呈しEBV感染症と急性HIV感染症と診断した一例
患者:35歳,男性.
既往歴:特記事項なし.
現病歴:咽頭痛・発熱・倦怠感のため近医を受診し,伝染性単核症を疑われ当科紹介.頸部から胸部にかけて小紅斑を認め,血液検査では異型リンパ球増多および肝機能障害を認めた.
 伝染性単核症を疑い,EBV(Epstein-Barrウイルス)血清検査を提出.EBV VCA(外殻抗体)IgG(免疫グロブリンG)陽性,EBNA(核内抗体)陰性により急性EBV感染症と診断(3カ月後のEBNAは陽性)したが,同時に検査したHIV(ヒト免疫不全ウイルス)抗原/抗体検査陽性より急性HIV感染症を合併していた.HIV-1RNA RT-PCR陽性,HIV-1抗体(Western blot)陰性より,「急性HIV感染症」と確定した.伝染性単核症様の症状では,急性HIV感染症を必ず鑑別にあげるべきである.

参考文献

1)Charles A, et al : Fever. Kasper DL, et al(ed): Harrison's principles of internal medicine, 19 ed. pp123-126, McGraw-Hill, 2015. <内科学の代表的教科書.「fever」「fever and rash」「fever of unknown origin」に関する19頁はよくまとめられており,ぜひ読んでいただきたい>
2)Ryan ET, et al : Illness after international travel. N Engl J Med 347(7): 505-516, 2002. <海外渡航者の感染症に関するレビュー.潜伏期から感染症を推定する一覧表がわかりやすい>
3)Cunha BA : The diagnostic significance of relative bradycardia in infectious disease. Clin Microbiol Infect 6(12): 633-634, 2000. <比較的徐脈の有用性に関する文献.体温38.9℃以上の場合に適応すべきであると勧めている>
4)Tess AV : Fever. Henderson MC, et al(ed): The Patient History ; An Evidence-Baced Approach to Differential Diagnosis, 2ed. pp57-65, McGraw-Hill, 2012.<外来で経験する主要症状について,病歴聴取と身体診察から鑑別診断をあげて診断を確定するまでの流れを学ぶことができる>
5)Cunha BA, et al : Fever of unknown origin;a clinical approach. Am J Med 128(10): 1138. e1-15, 2015.<『Fever of Unknown Origin』という同じ著者が書いた不明熱診療の良書があるが,この文献では新たに内容が刷新されたもので最新の文献を引用しており必見>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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