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ゲストライブ〜Improvisation〜・7
医師のためのマインドフルネス—つらいと言えない? パフォーマンスを高めたい?
著者: 伊藤絵美1
所属機関: 1洗足ストレスコーピング・サポートオフィス
ページ範囲:P.1448 - P.1456
文献購入ページに移動 伊藤さんの最新刊『つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。』が出版された。認知行動療法の新しいアプローチ「マインドフルネス」と「スキーマ療法」に、医療者自身が取り組む内容だ。本書の姉妹編『ケアする人も楽になる マインドフルネス&スキーマ療法』では看護師のマミコさんが主役だったが、今回は医師のヨウスケさんが登場する。ヨウスケさんは一見“普通の内科医”だ。でも実は、長年「背部痛」に悩んでいて……。伊藤さんは、なぜ「医師」をクライアントに選んだのだろう?
一方、総合診療系の学会などでは、診断精度を高めたり、医師としてのパフォーマンスを向上する技術の1つとしても注目される「マインドフルネス」。Google社などの名だたる企業も取り入れており、“ビジネススキル”のようにもとらえられている。果たして、マインドフルネスとは何なのか? その効果は? 「医師」がマインドフルネスを取り入れる意義を聞いた。
一方、総合診療系の学会などでは、診断精度を高めたり、医師としてのパフォーマンスを向上する技術の1つとしても注目される「マインドフルネス」。Google社などの名だたる企業も取り入れており、“ビジネススキル”のようにもとらえられている。果たして、マインドフルネスとは何なのか? その効果は? 「医師」がマインドフルネスを取り入れる意義を聞いた。
参考文献
1)林紀行:マインドフルネスの治療効果のエビデンス.精神科治療 32(5):585-590, 2017. 〈マインドフルネスの治療効果に関するRCTのメタアナリシスについてレビューしたもの。2015〜2016年の、以下8つの論文が対象になっている〉
2)Zhang MF, et al:Effectiveness of mindfulness-based therapy for reducing anxiety and depression in patients with cancer;a meta-analysis. Medicine(Baltimore) 94(45): e0897-0, 2015. PMID 26559246 〈乳がん3試験、がん混合4試験。介入直後の「不安症状」「うつ症状」が大きく改善。12週以内のフォローアップ評価でも中等度の改善が保たれた〉
3)Ruffault A, et al : The effects of mindfulness training on weight-loss and health-related behaviours in adults with overweight and obesity ; A systematic review and meta-analysis. Obes Res Clin Pract 11(5S1): 90-111, 2017. PMID 27658995 〈「減量」や「過食」についての12試験。地域住民4試験、むちゃ食い障害3試験、学生2試験、減量クリニック受診者・糖尿病患者・肥満手術後各1試験。減量には明らかな効果を認めなかったが、過食行動は大きく改善した〉
4)Kuyken W, et al : Efficacy of Mindfulness-Based Cognitive Therapy in Prevention of Depressive Relapse ; An Individual Patient Data Meta-analysis From Randomized Trials. JAMA Psychiatry 73(6): 565-574, 2016. PMID 27119968 〈「再発性うつ病」(57.8%は5回以上再発)に対するマインドフルネス認知療法(MBCT)9試験。60週後において、コントロール群に比べ、有意に31%再発が低下。「抗うつ薬」群に比べても有意に23%低下。MBCTの副作用と認められるものはなく、今後、うつ病の再発予防に対してMBCTが抗うつ薬に代わりうると示唆)
5)Demarzo MM, et al : The Efficacy of Mindfulness-Based Interventions in Primary Care ; A Meta-Analytic Review. Ann Fam Med 13(6): 573-582, 2015. PMID 26553897 〈プライマリ・ケアにおける6試験(慢性骨格筋系疼痛、気分障害、慢性疾患によるストレス、中年女性のうつ、3回以上の再発性うつ、原因不明の症状が各1試験ずつ)。全体として中等度の改善、「精神的健康」「精神疾患」が中等度改善、「QOL」「身体疾患」は小さな改善。ただし、アクティブコントロール群との比較では、明らかな効果を認めていない(非アクティブコントロール群との比較では、大きな効果を認めた)〉
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7)Spijkerman MP, et al : Effectiveness of online mindfulness-based interventions in improving mental health ; A review and meta-analysis of randomised controlled trials. Clin Psychol Rev 45 : 102-114, 2016. PMID 27111302 〈オンライン介入による15試験。「ストレス」で中等度の効果、「うつ症状」「不安症状」「ウェルビーイング」「マインドフルネス」で小さな効果。概して、健常者や身体症状をもつ者より、精神症状をもつ者で効果的な傾向〉
8)Khoury B, et al : Mindfulness-based stress reduction for healthy individuals ; A meta-analysis. J Psychosom Res 78(6): 519-528, 2015. PMID 2818837 〈「健常者」を対象とした13試験。「燃え尽き」以外の「不安」「苦悩」「QOL」「マインドフルネス」「コンパッション」「スピリチュアリティ/エンパシー」で中等度以上、「うつ」「ストレス」で大きな効果〉
9)Gotink RA, et al : Standardised mindfulness-based interventions in healthcare ; an overview of systematic reviews and meta-analyses of RCTs. PLoS One 10(4): e0124344, 2015. PMID 25881019 〈23メタアナリシス(がん6、慢性疼痛3、脳血管障害1、慢性身体疾患2、うつ病3、不安障害1、精神疾患全般4、その他の疾患全般1、健常者1、子ども1。計115試験)のメタアナリシス。全体として、「うつ」「不安」「ストレス」「QOL」において中等度の効果、「身体機能」で小さな効果〉
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