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文献詳細

雑誌文献

総合診療27巻11号

2017年11月発行

文献概要

特集 今そこにある、ファミリー・バイオレンス|Violence and Health 【パートナーからを含むDV】

「プライマリ・ケア外来」でもDVを見逃すな!—家庭医としてできること

著者: 森屋淳子12

所属機関: 1医療福祉生協連家庭医療学開発センター(CFMD) 2川崎医療生協 久地診療所

ページ範囲:P.1488 - P.1491

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Case
不眠と頭痛で受診した患者の「家族関係」を聞き、DVを疑った一例
患者:27歳、女性。
現病歴:「数カ月前から、夜眠れずに頭痛がひどい」とのことで外来を受診。問診と身体診察により器質的疾患は否定的であり、うつ病の2質問法 G1 でも陽性ではなかったが、表情が暗く、やや抑うつ的なことが気になった。
 家族構成を確認したところ、夫と8歳・6歳・3歳の子どもの5人暮らしであり、「夫との関係がうまくいかず、子どもにもつらく当たってしまう」「夫から子どもへの暴力もある」とのことで、話を聴いているうちに流涙が見られる状態であった。「つらい状況をお話しいただき、ありがとうございます」とお伝えしながら、暴力の深刻度と頻度をうかがい、緊急対応の必要性は低いことを確認。今後の対応法について本人と話し合い、ソーシャルワーカーにも相談することとした。

参考文献

1)内閣府男女共同参画局:配偶者からの暴力に関するデータ,2016. http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/data/pdf/dv_dataH2809.pdf 〈日本における配偶者からの暴力に関するデータの2015年度までの推移が、わかりやすく示されている〉
2)Garcia-Moreno C, et al:Intimate partner violence. Understanding and addressing violence against women, pp1-12, World Health Organization, 2012. http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/77432/1/WHO_RHR_12.36_eng.pdf 〈IPVの定義・頻度・要因・影響・対処法などについて、わかりやすく概説している〉
3)片岡弥恵子:女性に対する暴力スクリーニング尺度の開発.日看科誌 25(3):51-60, 2005. 〈日本で作成された女性に対する暴力のスクリーニングツール〉
4)内閣府男女共同参画局:配偶者からの暴力の被害者対応の手引─二次的被害を与えないために,2008. http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/book/pdf/higaisyatebiki.pdf 〈問題のある対応の例、被害者の心理、対応のポイントについて具体的に解説している〉
5)Cronholm PF, et al : Intimate Partner Violence. Am Fam Physician 83(10): 1165-1172, 2011. PMID 21568249 〈IPVの発見・予防・介入における家庭医の役割やフレームワークが、わかりやすく解説されている〉
6)内閣府男女共同参画局:相談機関一覧─配偶者からの暴力全般に関する相談窓口.配偶者からの暴力被害者支援情報. http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html 〈配偶者暴力相談支援センターをはじめとする相談窓口が一覧化されている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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