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文献詳細

雑誌文献

総合診療27巻11号

2017年11月発行

文献概要

特集 今そこにある、ファミリー・バイオレンス|Violence and Health 【スペシャル・アーティクル】

医療現場・職場における「ハラスメント」—医療者↔患者・家族、医療者↔医療者

著者: 保坂隆123

所属機関: 1保坂サイコオンコロジー・クリニック 2聖路加国際病院 3聖路加国際大学

ページ範囲:P.1523 - P.1528

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Case
職場のストレスで「うつ病」になった一例
患者:38歳、女性。医事課職員。
家族歴:特記すべきことなし。
現病歴:1年前に転職して、病院の医事課に勤務し始めた。やっと仕事を覚えて自信も出始めた半年前より、「院外の研修会に参加するように」と強く上司から言われるようになった。また、上司が不在になる時には、その代行を任されることが多くなり、そのストレスもあり不眠になった。そのうち、複数名で担当していた業務を1人で担当させられるようになった頃には、「同僚や先輩たちからのいじめじゃないか」と気づくようになった。仕事にも行きたくなくなり、メンタルヘルス科を受診した。「うつ病」と診断され、抗うつ薬の治療を開始するとともに、3カ月間の自宅静養が必要であるという診断書を提出した。

参考文献

1)保坂隆:ハラスメントと職場のメンタルヘルス.保健の科学 57(5): 292-296, 2015.
2)小松秀樹:医療崩壊─「立ち去り型サボタージュ」とは何か.朝日新聞社,2006.
3)保坂隆:序にかえて.医学のあゆみ 227(2): 87-88, 2008.
4)吉川徹,他:日本医師会による勤務医の健康支援プロジェクトがスタート.労働の科学 64(6): 346-347, 2009.
5)勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会:勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書.日本医師会,2009. http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090902_32.pdf
6)藤澤大介,他:日本語版自己記入式簡易抑うつ尺度(日本語版QIDS-SR)の開発.ストレス科学 25(1): 43-52, 2010.
7)Wada K, et al.: Association of depression and suicidal ideation with unreasonable patient demands and complaints among Japanese physicians ; a national cross-sectional survey. Int J Behav Med 18(4): 384-390, 2011. PMID 21125365
8)土屋繁裕:ストップ ザ ドクハラ─医者のハラスメントに患者はどうすべきか.扶桑社,2003.
9)職場における心理的負荷評価表の見直し等に関する検討会:職場における心理的負荷評価表の見直し等に関する検討会報告書.厚生労働省,2009. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000011ncr-att/2r98520000011nvy.pdf
10)厚生労働省労働基準局長:心理的負荷に対する精神障害の認定基準について.2011. http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z3zj-att/2r9852000001z43h.pdf
11)厚生労働省 労働基準局 補償課 職業病認定対策室:平成28年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表.厚生労働省,2017. http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000168672.html
12)厚生労働省労働基準局労働条件政策課賃金時間室:職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言取りまとめ,2012. http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025370.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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