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文献詳細

雑誌文献

総合診療27巻11号

2017年11月発行

文献概要

特集 今そこにある、ファミリー・バイオレンス|Violence and Health 【スペシャル・アーティクル】

医療現場における「クレーム」を読み解く—多目標理論モデルに基づく“診断”と“治療”

著者: 杉本なおみ1

所属機関: 1慶應義塾大学看護医療学部

ページ範囲:P.1534 - P.1537

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Case
高齢患者の死後、別居家族が「医療過誤ではないか」と申し立てた一例
患者:86歳、男性。末期の胃がんにより短期入院後、昨日死亡退院。
経過:地方都市で、63歳の長男夫婦と長年同居。長男は、自身も当院がかかりつけで、「父が大往生を遂げられたのも、先生のおかげです」と手厚く礼を述べた。
 ところが翌日、臨終に間に合わなかった長女が、「父が亡くなったのは医療過誤ではないか」と怒鳴り込んできた。長女は、35年前に結婚後、ずっと県外の大都市に住んでおり、父親の介護は長男夫婦に任せていた。「医療過誤の可能性は考えられない」と担当医(女性)が説明しても、「田舎の病院は信用できない。私の通っている○○大学病院とは大違いだ」と耳を貸さない。ついには、長男の制止も聞かず、院長自身による謝罪を要求する始末である。

参考文献

1)大渕憲一,他:葛藤解決における多目標─その規定因と方略選択に対する効果.心理學研究 68(3): 155-162, 1997. 〈日本人対象の調査結果に導かれた「多目標理論モデル」を提示している〉
2)Ohbuchi K, et al : Multiple goals and tactical behaviors in social conflicts. J Appl Soc Psychol 27(24): 2177-2199, 1997. 〈米国での多目標理論検証結果。日本と異なる傾向が報告されている〉
3)春日武彦:クレーマーを生み出す言動,生み出さない言動.看護学雑誌 72(1): 16-21, 2008. 〈クレームに潜む「面子」や「甘え」の対処について医師の立場で語っている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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