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文献詳細

雑誌文献

総合診療27巻4号

2017年04月発行

文献概要

特集 病歴と診察で診断できない発熱!—その謎の賢い解き方を伝授します。 【総論】とはいえ、基本は病歴と身体所見!

原因不明の発熱! 追加したい身体所見とは?

著者: 平島修1

所属機関: 1徳州会奄美ブロック総合診療研修センター

ページ範囲:P.424 - P.428

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「原因不明」は誰にとって原因不明か?
 総合診療外来で『「不明熱」の患者です。よろしくお願いします』と書かれた紹介状をもった患者を診察することはよくあると思うが、ほとんどが数日以内の熱源不明の発熱患者であり、いわゆる「不明熱」であるかは、診療する医師の方針次第だったりする。原因が判明すれば、それは熱源不明の発熱ではなくなるため、つまり「原因不明」は医師の力量によることも少なくはない。原因がわからないと、とりあえず全身のCT検査が行われるご時世に、本稿では“身体診察はCT検査を超えられるのか?”という視点で、原因不明の発熱患者の身体診察を考えてみる。
 筆者自身の反省すべき経験から、丁寧な身体診察への挑戦は始まった。長期入院中の40代の精神疾患患者で、2週間以上38℃を超える高熱がみられ、問診・診察では明らかな異常が指摘できず、造影CTでも原因がわからず、「不明熱」と考え、その原因は「詐熱・ミュンヒハウゼン症候群」ではないかと疑っていた。途方に暮れていたある日、看護師から「肛門らしきものが2つあるのですが」と意味不明のコールを受け、診察すると、なんと! 2つの穴の原因は、痔瘻だった。CTをよくよく見直しても、異常と指摘するのは困難な病変だった。切開排膿すると、あっという間に解熱した。直腸診を省略し、患者の精神状態を疑った自分を、ものすごく反省した。同じようなことは不定愁訴にも共通し、「多岐にわたる患者の訴えがある疾患」に収束するのか、「病的意義をなさない不定愁訴」になるのか、「熱源不明の発熱がある疾患」に収束するのか、それとも「不明熱」になるのかは、医師の技量に左右される。

参考文献

1)Salvatore M:Physical Diagnosis Secrets, 2nd ed. Mosby, 2007.
2)McGee S : Evidence-based physical diagnosis, 3rd ed. Saunders, 2012.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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