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文献詳細

雑誌文献

総合診療27巻4号

2017年04月発行

文献概要

特集 病歴と診察で診断できない発熱!—その謎の賢い解き方を伝授します。 【各論】さて、この検査をしよう!

病理診断を依頼する時と、病理報告書を読む時の留意点は?

著者: 知念克也1

所属機関: 1練馬総合病院病理診断科

ページ範囲:P.453 - P.457

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Case1
赤痢アメーバ症の1剖検例
患者:80歳、日本人男性。海外渡航歴なし。
既往歴:糖尿病(内服療法中。HbA1cは6〜7%。合併症なし)。
現病歴および経過:入院6〜4日前に国内旅行をし、刺身を食べたが生肉は食べてない。入院4日前から腹痛と下痢があった。入院当日トイレから立てない状態でいるのを発見され、救急車で搬送された。来院時、意識清明、血圧96/61mmHg、脈拍数133回/分、体温39.2℃。腹部全体に圧痛を認めたが、反跳痛はみられなかった。検査では高血糖(753mg/dL)と低Alb血症(1.2g/dL)が著明であり、便潜血が陽性を示した。WBC 11,000/μL、Hb 12.2g/dL、Ht 37.0%、Plt 28.5×104/μL。血液ガスは室内空気でpH 7.4、pO2 80.7mmHg、pCO2 26.7mmHg、HCO3- 16.3mmol/Lであった。「感染性腸炎」と診断し、輸液、インスリン療法、アルブミン静注、抗菌薬投与(セフメタゾール→メロペネム)を行ったが、病状は改善せず、第13病日に永眠された。便培養・血液培養はいずれも陰性であった。

参考文献

1)Pritt BS, et al : Amebiasis. Mayo Clin Proc 83(10): 1154-1160, 2008. PMID 18828976 〈赤痢アメーバ症の病態・診断・治療について書かれた良い総説である〉
2)鹿取正道:病理医の業務とはどのようなものか.JIM 20(8): 566-570, 2010.
3)熊坂利夫:病理報告はこう読め;病理医が伝えたいこと.JIM 20(8): 571-575, 2010.
4)下正宗:病理検体はこう動く;検体の取り扱い.JIM 20(8): 577-581, 2010. 〈文献2〜4はいずれも病理診断に関わる基本的なことが書かれており,臨床医と病理医が連携することの重要性に言及している〉
5)ローレンス・ティアニー,他:ティアニー先生の診断入門.医学書院,2008. 〈総合診療に関わる医師・看護師にぜひ読んでもらいたい1冊である〉
6)Tierney LM, et al : Amebiasis(Entamoeba histolytica). In CURRENT Essentials of Medicine(4th ed). p256, McGraw Hill Education, New York, 2011. 〈パールを含め,臨床医学の本質的なことが要約された良書である〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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