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特集 病歴と診察で診断できない発熱!—その謎の賢い解き方を伝授します。 【各論】さて、この検査をしよう!
感染症以外の疾患の見抜き方❶
著者: 西垂水和隆1
所属機関: 1今村病院分院救急・総合内科
ページ範囲:P.458 - P.462
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発熱24時間で受診し、検査データから早期に悪性リンパ腫の診断に至った1例
患者:50代、男性。既往なし。
現病歴:2日前まで問題なし。前日の夕方から微熱があり、来院当日38℃台になったということで夜間救急外来を受診された。発熱以外の症状はなく、sick感はない。身体所見で下肢にわずかに点状出血があったので気になり、採血を行ったところ、LDH(乳酸脱水素酵素)550IU/L、CRP(C反応性蛋白) 7.1mg/dLと上昇あり、軽度の血小板低下(Plt 9.1×104/μL)がみられた。胸部X線、腹部エコー、尿検査で異常なく、明らかな細菌感染のフォーカスは見つからなかった。未治療で翌朝受診してもらい、再検でLDHは705IU/Lとさらに上昇。造影CTでは軽度の脾腫のみで、明らかなリンパ節腫大はなく、熱源は不明であった。血液悪性腫瘍を疑い、週末はナプロキセンを投与して様子を見たところ1日で解熱。週明けに骨髄検査を行い、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」の診断となった。
発熱24時間で受診し、検査データから早期に悪性リンパ腫の診断に至った1例
患者:50代、男性。既往なし。
現病歴:2日前まで問題なし。前日の夕方から微熱があり、来院当日38℃台になったということで夜間救急外来を受診された。発熱以外の症状はなく、sick感はない。身体所見で下肢にわずかに点状出血があったので気になり、採血を行ったところ、LDH(乳酸脱水素酵素)550IU/L、CRP(C反応性蛋白) 7.1mg/dLと上昇あり、軽度の血小板低下(Plt 9.1×104/μL)がみられた。胸部X線、腹部エコー、尿検査で異常なく、明らかな細菌感染のフォーカスは見つからなかった。未治療で翌朝受診してもらい、再検でLDHは705IU/Lとさらに上昇。造影CTでは軽度の脾腫のみで、明らかなリンパ節腫大はなく、熱源は不明であった。血液悪性腫瘍を疑い、週末はナプロキセンを投与して様子を見たところ1日で解熱。週明けに骨髄検査を行い、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」の診断となった。
参考文献
1)Cunha BA, et al : Fever of unknown origin ; a clinical approach. Am J Med 128(10): 1138.e1-1138.e15 2015. PMID 26093175 〈不明熱疾患の病歴,身体所見,検査上の手がかりが記載されている〉
2)TSUJIOKA T, et al : The impact of serum soluble interleukin-2 receptor levels on the diagnosis of malignant lymphoma. KAWASAKI MEDICAL JOURNAL(Japanese)37(1): 19-27, 2011. 〈1,278例でsIL-2Rを測定し,悪性リンパ腫とその他の疾患を比較して,その感度・特異度を求めている〉
3)Hao-Yuan Wang, et al : A ‘‘bone marrow score'' for predicting hematological disease in immunocompetent patients with fevers of unknown origin. medicine 93(27): e243, 2014. PMID 25501092 〈不明熱で骨髄検査が有用となる症例を絞り込むためのスコア〉
4)Pongpudpunth M, et al : Usefulness of Random Skin Biopsy as a Diagnostic Tool of Intravascular Lymphoma Presenting With Fever of Unknown Origin. Am J Dermatopathol 37(9): 686-690, 2015. PMID 26291417 〈不明熱患者でランダム皮膚生検を行った24例の検討〉
5)Emmanuel Edwin R. Dy, et al : The Naproxen Test as a Diagnostic Tool in the Causative Differentiation of Fever. Phil J Microbiol Infect Dis 28(3): 85-90, 1999. 〈腫瘍熱へのナプロキサンの効果をみたもの〉
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