文献詳細
文献概要
What's your diagnosis?[173]
ダッシュできますか!?
著者: 片岡祐1 川島篤志1
所属機関: 1市立福知山市民病院
ページ範囲:P.560 - P.564
文献購入ページに移動病歴
患者:生来健康な19歳、男性。
主訴:息切れ。
現病歴:1カ月前から咳嗽があり、階段を昇るのがつらかった。息切れは徐々に増悪し、5日前に近医を受診し「風邪」と言われ内服処方(下記)された。前日より2階まで階段を昇るのに途中で休憩が必要になったため、12月某日に当院救急を受診した。呼吸苦は自宅より職場にいる時のほうが強いようにも思うが、しかしそれほど違いはないとのこと。
Review of systems:
陽性;悪寒、軽度の頭痛、鼻汁、痰。
陰性;悪寒戦慄、咽頭痛、関節痛、腹痛、排尿時痛、食欲低下、受診日以前の発熱。
既往歴:なし。
内服:セフジトレンピボキシル、ロラタジン、カルボシステイン。
生活歴:喫煙;周囲の喫煙は多いが、本人は1本も吸ったことはない。飲酒;なし。仕事;段ボール製造業で紙塵が舞う環境下でマスク使用なし。2カ月前から夜勤が始まり、最後の掃除でさらに紙塵が舞う。自宅環境;変化なし。ペット;5年前から犬2匹。パートナー;1カ月前から交際。これまで性交渉なし。
sick contact:なし。
アレルギー:なし。
家族歴:特記事項なし。同様の症状なし。
身体所見:身長166cm、体重46.5kg、BMI 16.9。全身状態良好。血圧101/68mmHg、脈拍数133回/分・整、体温38.2℃、呼吸数16回/分、SpO2 95%(室内気)。眼球結膜黄染(-)、眼瞼結膜貧血(-)、呼吸音;清、no wheezes、no crackles。心音;整、S1→S2→S3(-)、S4(-)、no murmur。腹部;平坦軟、自発痛・圧痛なし。
血液検査:WBC 12,860/μL(Neut 86%、Lym 11%、Mono 3%)、RBC 531×104/μL、Hb 18.0g/dL、Ht 50.3%、Plt 12.7×104/μL、PT-INR 1.25、APTT 26.3秒、D-ダイマー 3.8μg/mL、TP 6.5g/dL、Alb 4.2g/dL、T-Bil 3.7mg/dL、D-Bil 0.6mg/dL、AST 54IU/L、ALT 98IU/L、LDH 361IU/L、ALP 385IU/L、γ-GTP 158IU/L、CK 147IU/L、BUN 16mg/dL、Cr 0.79mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 107mEq/dL、CRP 0.17 mg/dL、HIV抗体 陰性。
動脈血ガス(室内気):pH 7.452、PCO2 23.2mmHg、PO2 53.0mmHg、HCO3- 15.8mmol/L。
心エコー:EF(駆出率)60%、軽度の僧帽弁逆流のみで特記すべき異常なし(ERで簡易に施行)。
胸部単純X線:明らかな異常を指摘できず。
胸部造影CT:図1・2。
入院後経過❶:入院後すぐに気管支鏡検査が可能な施設(A病院)に転院したが、BAL(気管支肺胞洗浄)や病理組織では有意な所見を認めなかった。
その1カ月後、労作時呼吸苦が顕著となり、胸水や肝障害の再燃もあり、心不全疑いとして再度当院へ転院となった。
患者:生来健康な19歳、男性。
主訴:息切れ。
現病歴:1カ月前から咳嗽があり、階段を昇るのがつらかった。息切れは徐々に増悪し、5日前に近医を受診し「風邪」と言われ内服処方(下記)された。前日より2階まで階段を昇るのに途中で休憩が必要になったため、12月某日に当院救急を受診した。呼吸苦は自宅より職場にいる時のほうが強いようにも思うが、しかしそれほど違いはないとのこと。
Review of systems:
陽性;悪寒、軽度の頭痛、鼻汁、痰。
陰性;悪寒戦慄、咽頭痛、関節痛、腹痛、排尿時痛、食欲低下、受診日以前の発熱。
既往歴:なし。
内服:セフジトレンピボキシル、ロラタジン、カルボシステイン。
生活歴:喫煙;周囲の喫煙は多いが、本人は1本も吸ったことはない。飲酒;なし。仕事;段ボール製造業で紙塵が舞う環境下でマスク使用なし。2カ月前から夜勤が始まり、最後の掃除でさらに紙塵が舞う。自宅環境;変化なし。ペット;5年前から犬2匹。パートナー;1カ月前から交際。これまで性交渉なし。
sick contact:なし。
アレルギー:なし。
家族歴:特記事項なし。同様の症状なし。
身体所見:身長166cm、体重46.5kg、BMI 16.9。全身状態良好。血圧101/68mmHg、脈拍数133回/分・整、体温38.2℃、呼吸数16回/分、SpO2 95%(室内気)。眼球結膜黄染(-)、眼瞼結膜貧血(-)、呼吸音;清、no wheezes、no crackles。心音;整、S1→S2→S3(-)、S4(-)、no murmur。腹部;平坦軟、自発痛・圧痛なし。
血液検査:WBC 12,860/μL(Neut 86%、Lym 11%、Mono 3%)、RBC 531×104/μL、Hb 18.0g/dL、Ht 50.3%、Plt 12.7×104/μL、PT-INR 1.25、APTT 26.3秒、D-ダイマー 3.8μg/mL、TP 6.5g/dL、Alb 4.2g/dL、T-Bil 3.7mg/dL、D-Bil 0.6mg/dL、AST 54IU/L、ALT 98IU/L、LDH 361IU/L、ALP 385IU/L、γ-GTP 158IU/L、CK 147IU/L、BUN 16mg/dL、Cr 0.79mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 107mEq/dL、CRP 0.17 mg/dL、HIV抗体 陰性。
動脈血ガス(室内気):pH 7.452、PCO2 23.2mmHg、PO2 53.0mmHg、HCO3- 15.8mmol/L。
心エコー:EF(駆出率)60%、軽度の僧帽弁逆流のみで特記すべき異常なし(ERで簡易に施行)。
胸部単純X線:明らかな異常を指摘できず。
胸部造影CT:図1・2。
入院後経過❶:入院後すぐに気管支鏡検査が可能な施設(A病院)に転院したが、BAL(気管支肺胞洗浄)や病理組織では有意な所見を認めなかった。
その1カ月後、労作時呼吸苦が顕著となり、胸水や肝障害の再燃もあり、心不全疑いとして再度当院へ転院となった。
参考文献
1)Simonneau G, et al : Updated clinical classification of pulmonary hypertension. J Am Coll Cardiol 62(25 Suppl): D34-41, 2013. PMID 24355639
2)Montani D, et al : Pulmonary veno-occlusive disease. Eur Respir J 47(5): 1518-1534, 2016. PMID 27009171 <PVODのレビュー。疾患の特徴がまとまっている>
3)Dorfmüller P, et al : Fibrous remodeling of the pulmonary venous system in pulmonary arterial hypertension associated with connective tissue diseases. Hum Pathol 38(6): 893-902, 2007. PMID 17376507 <結合組織病の肺動脈性肺高血圧症においては、肺静脈にも病態が及ぶことが多く、肺高血圧の治療薬への不応性の一因と考えられる>
掲載誌情報