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文献概要
特集 コミュニケーションを処方する—ユマニチュードもオープンダイアローグも入ってます! 【実践編】
「がん治療・緩和ケア」を必要とする患者とのコミュニケーション
著者: 田中桂子1
所属機関: 1がん・感染症センター 都立駒込病院 緩和ケア科
ページ範囲:P.604 - P.608
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伝えたけど伝わっていなかった残念な一例
患者:65歳、女性。子宮体がん、腹膜播種、肝・骨転移。
「『腫瘍です』って言われて、『よかった! がんじゃなくて』って思いました。『体を輪切りにする』なんていう痛い検査や、『頭の中をのぞく』とかいう怖い検査はお断りしたんですが、息子がどうしてもやれっていうのでやりました。そうしたら、本当に輪切りされたり考えてることをのぞかれたりするわけではなかったんで、よかったですけど。それから、『標準的治療』っていうのをしました。あの時、標準コースじゃなくて、松竹梅の松コースをお願いしていたらよかったんですかね。『棺桶屋に行け』って言われたんで、びっくりしたんですが、『かんわけあ』なんですね。そうそう、『男性ストッキング』を買えと言われたんですが、女性用は売ってますか?」
みなさんは、この状況を笑えるだろうか?
伝えたけど伝わっていなかった残念な一例
患者:65歳、女性。子宮体がん、腹膜播種、肝・骨転移。
「『腫瘍です』って言われて、『よかった! がんじゃなくて』って思いました。『体を輪切りにする』なんていう痛い検査や、『頭の中をのぞく』とかいう怖い検査はお断りしたんですが、息子がどうしてもやれっていうのでやりました。そうしたら、本当に輪切りされたり考えてることをのぞかれたりするわけではなかったんで、よかったですけど。それから、『標準的治療』っていうのをしました。あの時、標準コースじゃなくて、松竹梅の松コースをお願いしていたらよかったんですかね。『棺桶屋に行け』って言われたんで、びっくりしたんですが、『かんわけあ』なんですね。そうそう、『男性ストッキング』を買えと言われたんですが、女性用は売ってますか?」
みなさんは、この状況を笑えるだろうか?
参考文献
1)Weeks JC, et al:Patients' expectation about effects of chemotherapy for advanced cancer. N Engl J Med 367(17): 1616-1625, 2012. PMID 23094723 〈がん医療の現場の説明がいかに伝わっていないかが示された〉
2)国立国語研究所「病院の言葉」委員会:「病院の言葉」を分かりやすくする提案.国立国語研究所,2009. http://pj.ninjal.ac.jp/byoin/sitemap.html 〈病院の言葉がわかりにくい原因と,わかりやすく伝えるための工夫が提案されている〉
3)藤森麻衣子,他(編):続・がん医療におけるコミュニケーションスキル──実践に学ぶ悪い知らせの伝え方.医学書院,2009. 〈SHAREプロトコールの概説と,さまざなな仮想症例が解説された実用書〉
4)Maslach C, et al:The measurement of experienced burnout. J Organ Behav 2(2): 99-113, 1981. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/job.4030020205/epdf 〈医療スタッフの燃え尽き症候群に関する尺度作成により数値化が試みられた〉
5)Fujimori M, et al : Effect of communication skills training program for : oncologists based on patient preferences for communication when receiving bad news ; a randomized controlled trial. J Clin Oncol 32(10): 2166-2172, 2014. PMID 24912901 〈SHAREプロトコールによるコミュニケ-ションスキルトレーニングの有用性が示された〉
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