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文献詳細

雑誌文献

総合診療27巻6号

2017年06月発行

文献概要

特集 「地域を診る医者」最強の養成法! 【各論:実況中継!】

—地域のシームレスな医療に強くなる!❷—緩和ケア

著者: 大中俊宏123

所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科緩和医療学 2順天堂大学医学部緩和医療学研究室 3賛育会病院緩和ケア内科

ページ範囲:P.742 - P.745

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Case
コントロール不良ながん性疼痛、せん妄を伴いながら、在宅を希望する患者さん
患者:70歳、女性。
家族歴:週3回透析をしている夫と、2人暮らし。子どもはいない。
現病歴:1年前に「直腸がん」と診断された。初診時にすでに広範な転移を認め、腫瘍内科医の指導の下に総合診療医が抗がん治療を行ってきた。半年ほど前に重症感染症を併発し、以後、抗がん治療は中止。夫の透析の時間帯は1人きりになるが、「PS(performance status)3」の状態の本人がセルフケアを行いつつ、在宅療養をしてきた。
 今回、両側水腎症による腎前性腎不全で緊急入院。腎盂ステント留置術により腎機能は改善したものの、「PS4」と大きく低下し、せん妄も合併。今まで自分で内服してきたオピオイドも使用できなくなった。悪性腸腰筋症候群のため、下肢に触れるだけで大きな声を出し、疼痛コントロールは十分ではない。本人の「家に帰りたい」と繰り返す言葉を聞き、夫は「すぐに自宅に連れて帰りたい」と焦っている。状況から、在宅はとても現実的ではないと考えた総合診療医は、緩和ケアチームに相談した。

参考文献

1)Lynn J : Perspectives on care at close of life. Serving patients who may die soon and their families ; the role of hospise and other services. JAMA 285(7): 925-932, 2001. PMID 1180736 〈がん,および非がんの病の軌跡(illness trajectory)について提唱している.〉
2)K.W.M.(Bill)Fulford, Ed Peile and Feidi Carroll. 2012/大西弘高・尾藤誠司(監訳),大中俊宏(訳):価値に基づく診療─乳がんでの「ベスト」;臨床家の価値と当人中心のケア VBPの要素5 当人の価値中心の診察.pp131-150, 医学書院,2016. 〈EBMとNBMをつなぎ,この次にやってくるトレンドとも言えるVBMの,今のところ日本語で読める唯一の教科書〉
3)Christakis NA, et al : Extent and determinants of error in doctors' prognoses in terminally ill patients ; prospective cohort study. BMJ 320(7223): 469-472, 2000. PMID 10678857 〈医師の予後予測が楽観的になることを述べた古典的な文献〉
4)Maltoni M, et al : A new palliative prognostic score ; a first step for staging of terminally ill cancer patients. Italian Multicenter and Study Group on Palliative Care. J Pain Symptom Manage 17(4): 231-239, 1999. PMID 10203875 〈PaPスコアについて〉
5)The Palliative Prognostic Index : a scoring system for survival prediction of terminally ; ill cancer patients. support care center 7 : 128-133, 1999. PMID 10335930 〈PPIについて〉
6)Gwilliam B, et al : Development of prognosis in palliative care study(PiPS) predictor models to improve prognostication in advanced cancer ; prospective cohort study. BMJ 343 : d4920, 2011. PMID 21868477 〈PiPSモデルについて〉
7)聖隷三方原病院症状緩和ガイド:予後の予測.http://www.seirei.or.jp/mikatahara/doc_kanwa/contents7/71.html 〈WEBで公開されている症状コントロールのガイダンス.ネット環境であれば素早く参照できて心強い.PaPスコア,PPI,PiPSモデルについて,わかりやすく併記されている〉
8)Pereira JL : The Pallium Palliative Pocketbook ; A peer-reviewed, referenced resource, 2 ed. 1-1〜1-8, Pallium Canada, Ottawa, 2016. 〈北米を中心に広く用いられており「緩和ケアにおけるワシントンマニュアル」と言える.日本からペーパー版の購入はできないが,iBooks Storeで電子版が購入できる.現在翻訳進行中〉
9)内富庸介,他(編集):がん医療におけるコミュニケーション・スキル─悪い知らせをどう伝えるか.医学書院,2007. 〈SHAREを散りばめたコミュニケーション・スキルの定番.DVD付き〉
10)日本緩和医療学会:PEACEプロジェクト.http://www.jspm-peace.jp 〈これまで,がん医療での緩和ケアの基本的知識の習得が目標であったが,今後は非がんに関する緩和ケアも取り扱うようである〉
11)大坂巌:緩和医療におけるチーム医療.癌と化学療法 40 : 444-447, 2013. 〈緩和医療に適したチームのあり方について考察している〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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