総合診療27巻6号

2017年06月発行

特集 「地域を診る医者」最強の養成法！ 【各論：実況中継！】

—地域のシームレスな医療に強くなる！❹—離島

著者： 平島修¹²

所属機関： ¹徳州会奄美ブロック総合診療研修センター ²名瀬徳州会病院

ページ範囲：P.750 - P.753

Case
（人口3,000人ほどの自然が残る離島で、総合診療医のみで対応している小さな病院にて）
患者：90歳、男性。ADL自立。
現病歴：来院当日ゲートボール中に、急に胸苦しさ、呼吸困難感があり、救急要請した。
　発症から30分経過して病院に到着。冷汗を流し、胸苦しさは続いていた。
身体所見：血圧150/90mmHg、脈拍数110回/分・整、呼吸数20回/分、体温36.2℃、SpO₂ 96％（室内気）。
　頸静脈怒張なし。心音；Ⅲ音なし、Ⅳ音を聴取、雑音なし。呼吸音；清。浮腫なし。
検査所見：心電図；V1-5でSTが1mm上昇している部分と、0.5mm程度上昇の部分が混在。胸部X線検査；肺野に異常なし。採血；心筋逸脱酵素の上昇は認めず。心エコー；前壁に軽度の壁運動異常を認めた。
Q：もしあなたがこの患者の主治医なら、診断と対応はどうしますか？　島外搬送しますか？
（註：離島の医療環境：心臓カテーテル検査を含めた心臓の精査はできない。隣接する島にはドクターヘリを呼ぶとすぐに迎えに来てもらえる）。

参考文献

1）本村和久：離島で医療する．Modern Physician 29（2）: 184-186, 2009.

2）国土交通省：離島の現状について．2012.