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特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 3 カリスマ編 【各論】 System1|電光石火の感染症snap diagnosis
心疾患は聴診! ではなく、まず視診と触診!
著者: 藤本卓司1
所属機関: 1耳原総合病院 救急総合診療科
ページ範囲:P.874 - P.877
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1カ月続く微熱で初診し、いったん帰宅となった高齢女性
患者:76歳、女性。生来健康。
現病歴:1カ月前から37〜38℃程度の発熱と頭痛が持続。近医で抗菌薬が処方されるも軽快せず。初診時の身体診察では異常所見を認めなかったが、念のために採取した血液培養2セットが後日陽性と判明し、急きょ入院となった。
入院後、担当医が診察を行ったが、微熱はあるものの、身体診察上の異常所見を見出すことはできなかった。上級医が呼ばれて診察すると、視診と触診の両方で立ち上がりの速い大きな頸動脈拍動が認められ、胸骨左縁第3〜4肋間に高調な拡張早期雑音を聴取した。心臓超音波検査にて大動脈弁に疣贅と逆流があり、翌日、血液培養からαレンサ球菌が同定され、「感染性心内膜炎」の診断に至った。
1カ月続く微熱で初診し、いったん帰宅となった高齢女性
患者:76歳、女性。生来健康。
現病歴:1カ月前から37〜38℃程度の発熱と頭痛が持続。近医で抗菌薬が処方されるも軽快せず。初診時の身体診察では異常所見を認めなかったが、念のために採取した血液培養2セットが後日陽性と判明し、急きょ入院となった。
入院後、担当医が診察を行ったが、微熱はあるものの、身体診察上の異常所見を見出すことはできなかった。上級医が呼ばれて診察すると、視診と触診の両方で立ち上がりの速い大きな頸動脈拍動が認められ、胸骨左縁第3〜4肋間に高調な拡張早期雑音を聴取した。心臓超音波検査にて大動脈弁に疣贅と逆流があり、翌日、血液培養からαレンサ球菌が同定され、「感染性心内膜炎」の診断に至った。
参考文献
1)Shah KD:Clinical approach to a cardiac patient. pp10-25, Vakils, Feffer & Simons Pvt. Ltd., Mumbai, 2016. <日本でのベッドサイド教育に強いインパクトを与えたDr.シャーのテキスト.脈を診るポイントがわかりやすく書かれている>
2)Perloff JK:Physical examination of the heart and circulation, 4th ed. pp55-91, People's medical publishing house, Shelton, 2009. <心臓の身体診察を扱った良書の1つである.古書ではなく新品を今も購入できる.図・写真が多く,かつ説明がしっかりしている>
3)Warnes CA, et al:Effect of elevating the wrist on the radial pulse in aortic regurgitation ; Corrigan revisited. Am J Cardiol 51(9): 1551-1553, 1983. PMID 6846191 <いわゆる“自由の女神サイン”のメカニズムを考察した臨床研究である.上肢拳上時に局所の脈圧は小さくなるが,コンプライアンスは増大するという点が逆説的でおもしろい>
4)松田尚子,平島修,藤本卓司:The Green Light, Stop!?. What's your diagnosis?105. JIM 21(9):709, 2011. <いわゆる“自由の女神サイン”陽性の感染性心内膜炎の症例を京都GIMカンファレンスで発表したまとめである>
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