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文献概要
特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 3 カリスマ編 【各論】 System2|理詰めで追い詰める感染症
やはり、こうなるからには理由がある。
著者: 横江正道1
所属機関: 1名古屋第二赤十字病院 総合内科
ページ範囲:P.912 - P.916
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患者:74歳、男性。
主訴:発熱、胸やけ。
既往歴:68歳;直腸癌(腹腔鏡下直腸切断術・人工肛門造設術施行)。70歳;前立腺癌(経尿道的前立腺切除術施行後、一時的にビカルタミドを内服したが、現在は終了)。
高血圧あり(内服治療なし)、糖尿病・脂質異常症なし。
生活歴:職業;塾講師。喫煙;20本/日×30年(60歳で禁煙)。ペット;ネコのみ。海外渡航歴・温泉旅行歴なし。最近の性交渉歴なし。
内服歴:なし(ステロイド剤内服・軟膏の使用なし。抗菌薬内服も現在はなし)。
現病歴:1カ月前頃より発熱・頭痛・睾丸痛あり、近医の泌尿器科クリニックを受診。レボフロキサシンを処方され帰宅となった。その後、睾丸痛は改善したが解熱せず、同クリニックを再受診するも、再度レボフロキサシンとアセトアミノフェンが処方された。やはり、その後も解熱しないため、5日前に当院泌尿器科などを受診するが、いずれも「問題なし」と判断された。その結果、発熱は改善しないため、総合内科の外来受診となり、“不明熱”の精査目的で入院となった。
身体所見:意識清明(GCS:E4V5M6)、体温37.2℃、脈拍数60回/分、血圧115/74mmHg、呼吸数12回/分、SpO2 98%(室内気)。
●頸部;項部硬直(-)、jolt accentuation(-)、後頸部圧痛(-)、頸部リンパ節腫脹(-)、甲状腺圧痛(-)。
●結膜;貧血(±)、黄染(-)。
●副鼻腔圧痛(-)。
●口腔内;咽頭発赤(-)、扁桃腫大(-)、白苔(-)。
●心音;整、雑音(-)。呼吸音;清、喘鳴・ラ音聴取せず。
●腹部;やや膨満・軟。圧痛(-)、反跳痛(-)、McBurney圧痛(-)、肝叩打痛(-)、CVA(肋骨脊柱角)叩打痛左右ともに(-)。ストマ周辺に異常なし。
●関節;腫脹・発赤なし。皮膚;皮疹なし。体幹;脊柱の圧痛・叩打痛ともになし。
検査所見:
●血液検査;WBC 12,900/μL(Neut 72.7%、Lym 19.2%、Mono 5.9%、Eos 1.9%)、RBC 356×104/μL、Hb 10.6g/dL、Ht 32.3%、MCV 90.7fL、MCH 29.8pg、MCHC 32.8%、Plt 48.2×104/μL、PT 13.3秒、PT% 86.3%、APTT 35.2秒 。
●血液生化学検査;TP 6.84g/dL、Alb 2.16g/dL、ALT 26IU/L、LDH 197IU/L、BUN 13.6mg/dL、Cr 0.82mg/dL、CK 86IU/L、Glu 102mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 100mEq/L、CRP 26.09mg/dL、PSA<0.2mg/dL、HBs抗原(-)、HCV抗体(-)。
●尿検査;潜血(1+)、蛋白(1+)、糖(-)、ケトン体(-)、白血球定性(-)、亜硝酸塩(-)。尿沈渣;RBC 10〜19個/HPF、WBC 1〜4個/HPF、細菌(-) 。
●血液培養(2セット)・尿培養;いずれも陰性(後日判明)。
●胸部単純X線;特記すべき所見なし(図1)。
患者:74歳、男性。
主訴:発熱、胸やけ。
既往歴:68歳;直腸癌(腹腔鏡下直腸切断術・人工肛門造設術施行)。70歳;前立腺癌(経尿道的前立腺切除術施行後、一時的にビカルタミドを内服したが、現在は終了)。
高血圧あり(内服治療なし)、糖尿病・脂質異常症なし。
生活歴:職業;塾講師。喫煙;20本/日×30年(60歳で禁煙)。ペット;ネコのみ。海外渡航歴・温泉旅行歴なし。最近の性交渉歴なし。
内服歴:なし(ステロイド剤内服・軟膏の使用なし。抗菌薬内服も現在はなし)。
現病歴:1カ月前頃より発熱・頭痛・睾丸痛あり、近医の泌尿器科クリニックを受診。レボフロキサシンを処方され帰宅となった。その後、睾丸痛は改善したが解熱せず、同クリニックを再受診するも、再度レボフロキサシンとアセトアミノフェンが処方された。やはり、その後も解熱しないため、5日前に当院泌尿器科などを受診するが、いずれも「問題なし」と判断された。その結果、発熱は改善しないため、総合内科の外来受診となり、“不明熱”の精査目的で入院となった。
身体所見:意識清明(GCS:E4V5M6)、体温37.2℃、脈拍数60回/分、血圧115/74mmHg、呼吸数12回/分、SpO2 98%(室内気)。
●頸部;項部硬直(-)、jolt accentuation(-)、後頸部圧痛(-)、頸部リンパ節腫脹(-)、甲状腺圧痛(-)。
●結膜;貧血(±)、黄染(-)。
●副鼻腔圧痛(-)。
●口腔内;咽頭発赤(-)、扁桃腫大(-)、白苔(-)。
●心音;整、雑音(-)。呼吸音;清、喘鳴・ラ音聴取せず。
●腹部;やや膨満・軟。圧痛(-)、反跳痛(-)、McBurney圧痛(-)、肝叩打痛(-)、CVA(肋骨脊柱角)叩打痛左右ともに(-)。ストマ周辺に異常なし。
●関節;腫脹・発赤なし。皮膚;皮疹なし。体幹;脊柱の圧痛・叩打痛ともになし。
検査所見:
●血液検査;WBC 12,900/μL(Neut 72.7%、Lym 19.2%、Mono 5.9%、Eos 1.9%)、RBC 356×104/μL、Hb 10.6g/dL、Ht 32.3%、MCV 90.7fL、MCH 29.8pg、MCHC 32.8%、Plt 48.2×104/μL、PT 13.3秒、PT% 86.3%、APTT 35.2秒 。
●血液生化学検査;TP 6.84g/dL、Alb 2.16g/dL、ALT 26IU/L、LDH 197IU/L、BUN 13.6mg/dL、Cr 0.82mg/dL、CK 86IU/L、Glu 102mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 100mEq/L、CRP 26.09mg/dL、PSA<0.2mg/dL、HBs抗原(-)、HCV抗体(-)。
●尿検査;潜血(1+)、蛋白(1+)、糖(-)、ケトン体(-)、白血球定性(-)、亜硝酸塩(-)。尿沈渣;RBC 10〜19個/HPF、WBC 1〜4個/HPF、細菌(-) 。
●血液培養(2セット)・尿培養;いずれも陰性(後日判明)。
●胸部単純X線;特記すべき所見なし(図1)。
参考文献
1)中尾照男,他:食道カンジダ症30例の検討.Prog Dig Endosc 22 : 88-91, 1983. 〈カンジダ食道炎の複数症例検討〉
2)小沢壮治,他:カンジダ食道炎63例の検討.Prog Dig Endosc 30 : 87-90, 1987. 〈カンジダ食道炎の内視鏡所見と治療成績〉
3)Eras P, et al : Candida infection of the gastrointestinal tract. Medicine(Baltimore)51(5): 367-379, 1972. PMID 4560040 〈1960年代の論文だが,食道感染とリンパ腫/非リンパ腫の関係を詳細に記載している〉
4)鈴木大介,他:プロトンポンプ阻害薬を服用中にカンジダ食道炎を発症した3症例の検討.日本消化器内視鏡学会雑誌 42(9):1821-1825, 2000. 〈プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与後のカンジダ食道炎症例報告〉
5)Baehr PH, et al : Esophageal infections ; risk factors, presentation, diagnosis, and treatment. Gastroenterology 106(2): 509-532, 1994. PMID 7980741 〈カンジダ,ヘルペス,サイトメガロウイルスなどの食道感染に関するレビュー〉
6)Weerasuriya N, et al : A study of candida esophagitis in elderly patients attending a district general hospital in the UK. Dis Esophagus 19(3): 189-192, 2006. PMID 16722997 〈英国での65歳以上の高齢者におけるカンジダ食道炎の検討〉
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