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特集 見逃しやすい内分泌疾患─このキーワード、この所見で診断する! 【Case series 1 病歴と診察で突き止める!】
とにかくすごく疲れる!
著者: 池谷章1 沖隆2
所属機関: 1浜松医科大学第二内科 2浜松医科大学地域家庭医療学
ページ範囲:P.1036 - P.1039
文献購入ページに移動鞍上部腫瘍により汎下垂体機能低下症を呈した1例
患者:57歳、女性。
主訴:全身倦怠感、食思不振。
現病歴:56歳時より微熱が持続し、朝起床しようとすると強い倦怠感を自覚するようになり、徐々に増悪していった。食思不振も出現し、3カ月間で5kgの体重減少を呈した。
同時期より視野障害を自覚し、眼科を受診したところ両耳側半盲を認め、脳外科を紹介した。頭部MRIでトルコ鞍〜鞍上部にかけて進展す る腫瘤(図1)を認め、ホルモン評価目的で内分泌内科紹介となった。
検査所見:Na 131mEq/Lと軽度の低ナトリウム血症を認め、ホルモン基礎値ではACTH(副腎皮質刺激ホルモン)14.3pg/mL、コルチゾール 1.2μg/dL、TSH(甲状腺刺激ホルモン)2.26μU/mL、FT4(遊離サイロキシン) 0.5ng/dL、FT3(遊離トリヨードサイロニン) 2.7pg/mL、LH(黄体形成ホルモン)<0.2mIU/mL、FSH(卵胞刺激ホルモン)1.0mIU/mL、エストラジオール<10pg/mL、GH(成長ホルモン)<0.03ng/mL、IGF(インスリン様成長因子)-1 52(年齢別基準範囲;73〜207)ng/mL、PRL(プロラクチン)35ng/mLと、汎下垂体機能低下症の所見を認めた。
診断と治療:機能刺激検査を実施し、「視床下部障害型の汎下垂体前葉機能低下症」と診断し、ヒドロコルチゾン15mg/日内服開始したところ、倦怠感および食思不振は著明に改善を認め、1週間後よりレボチロキシン25μg/日内服を追加とし、待機的に手術予定となり退院した。
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