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文献詳細

雑誌文献

総合診療27巻8号

2017年08月発行

文献概要

特集 見逃しやすい内分泌疾患─このキーワード、この所見で診断する! 【Case series 1 病歴と診察で突き止める!】

急に喉がカラカラで!

著者: 宮田崇1 有馬寛1

所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科

ページ範囲:P.1044 - P.1047

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Case
患者:55歳、男性。
既往歴:特記事項なし。
内服:なし。
家族歴:特記事項なし。
現病歴:1カ月前から急に口渇・多飲・多尿を自覚するようになった。1日に10〜20回程度の排尿があり、1回当たりの排尿量は約200〜300mLと多い。就寝中にも尿意で目が覚め、夜間を通しても4〜5回の排尿が見られるようになり、その度に口渇感から飲水を行っている。就寝前に飲酒はしていない。排尿困難感や残尿感は見られない。体重はここ1カ月で2kg程度減った。多尿の精査目的で入院となった。
身体所見:血圧121/74mmHg、脈拍数95回/分、体温36.8℃。入院後の1日尿量約7〜8L。1日飲水量約5〜6L。口腔内乾燥あり。
検査所見
●血液検査:TP 8.0g/dL、UA 7.8mg/dL、BUN 18mg/dL、Cr 0.86mg/dL、Na 145mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 106mEq/L、Ca 9.9mg/dL、P 3.1mg/dL、Glu 104mg/dL、HbA1c 5.4%、血清浸透圧298mOsm/kg H2O。
●尿定性:尿糖(-)、尿蛋白(-)、尿潜血(-)、比重1.003、尿浸透圧93mOsm/kg H2O。

参考文献

1)大磯ユタカ,他:バゾプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)の診断と治療の手引き(平成22年度改訂).厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班:平成22年度総括・分担研究報告書.pp155-157,2011. 〈中枢性尿崩症の診断基準や病型分類が記されている〉
2)有馬 寛:中枢性尿崩症の病因,水バランスの実態,および渇感障害が生命予後に及ぼす影響の検討.厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業)間脳下垂体機能障害に関する調査研究班:平成25年度総括・分担研究報告書.pp76-83,2014. 〈名古屋大学医学部付属病院を中心に165人の尿崩症患者の特徴が検討されている〉
3)Fujisawa I:Magnetic resonance imaging of the hypothalamic-neurohypophyseal system. J Neuroendocrinol 16(4):297-302, 2004. PMID 15089965 〈中枢性尿崩症における下垂体後葉のMRI所見につき詳細に記されている〉
4)Arima H, et al:Adipsia increases risk of death in patients with central diabetes insipidus. Endocr J 61(2):143-148, 2014. PMID 24212879 〈渇感障害を有する中枢性尿崩症患者の予後を検討している〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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