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文献詳細

雑誌文献

総合診療27巻8号

2017年08月発行

文献概要

特集 見逃しやすい内分泌疾患─このキーワード、この所見で診断する! 【スペシャル・アーティクル】

小児における内分泌疾患—成長障害をきたす小児の診かた

著者: 原田大輔1 難波範行1

所属機関: 1地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院小児科

ページ範囲:P.1072 - P.1076

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Case1
感染症治療時に偶然発見された成長ホルモン分泌不全性低身長症の1例
患者:7歳1カ月、男児。
出生歴:在胎38週1日、自然頭囲分娩で仮死なく出生。出生体重2,798kg(-0.07 SD)、出生身長46.6cm(-0.79 SD)、頭囲32.5cm(-0.39 SD)。母乳栄養。遷延黄疸なし。
家族歴:慢性疾患の家族歴なし。母;身長155cm、初潮13歳。父;身長170cm、成長スパート12歳。
生活歴:7時起床、21時就寝。偏食なし。
現病歴:生来健康。低身長を気にしていたが、受診はしていない。今回、マイコプラズマ肺炎で入院した際に低身長に気づかれた。身長106.8cm(-2.61 SD)、体重20.4kg(-0.61 SD)、arm span 105.0cm。精巣2mL。成長曲線を示す(図1a)。骨年齢5歳7カ月、IGF-I(Insulin-like growth factor I)68 ng/mL(-1.85 SD)。後日行った成長ホルモン分泌刺激試験の結果、「成長ホルモン分泌不全性低身長症」と診断した。

参考文献

1)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班:成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引き(平成26年改訂).平成26年度総括・分担研究報告書.2015. 〈小児の成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断に必須のガイドライン〉
2)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班:中枢性思春期早発症の診断と治療の手引き.平成15年度 総括・分担研究報告書.pp119-120,2004. 〈中枢性思春期早発症の診断に必須のガイドライン〉
3)Isojima T, et al:Growth standard charts for Japanese children with mean and standard deviation(SD) values based on the year 2000 national survey. Clin Pediatr Endocrinol 25(2):71-76, 2016. PMID 27212799 〈小児の平均身長・平均体重の基本データ〉
4)Wess R, et al ; In Sperling MA(ed): Pediatric Endocrinology. 4th ed. pp956-1014, Saunders, Elsevier, Philadelphia, 2014.
5)Isojima T, et al:Standardized centile curves and reference intervals of serum insulin-like growth factor-I(IGF-I)levels in a normal Japanese population using the LMS method. Endocr J 59(9):771-780, 2012. PMID 22673406 〈IGF-Iの日本人小児から成人の基準値〉
6)日本小児内分泌学会,日本成長学会「骨年齢委員会」(編):日本人小児骨年齢アトラス.メディカルレビュー社,2011. 〈日本人標準のTW2(Tanner-Whitehouse2)法による骨年齢を判定するのに必携本〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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