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文献詳細

雑誌文献

総合診療27巻9号

2017年09月発行

文献概要

特集 うつより多い「不安」の診かた—患者も医師も安らぎたい 【治療編】

—ベンゾジアゼピン系薬に頼らない!—「不安」に対する薬物療法

著者: 宮内倫也1

所属機関: 1可知記念病院 精神科

ページ範囲:P.1182 - P.1187

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Case
日常型の心的外傷を有する一例
患者:23歳、女性。発達に特記事項なし。小学校から大学まで、交友関係は平穏であった。
現病歴:大学卒業後に、就職し働いていた。仕事中に泣いていることがあり、同僚が心配して受診を勧めた。診察中に本人から自発的には語られなかったが、医師から「昔あった嫌な記憶がフッと湧き出して、つらくなることはないか」と問うたところ、「入社当時に部長から大声で怒られたことを、突然思い出しちゃう。忘れようとしてもできなくてつらくて、夢にも出てきてうなされる」と話した。「そのようなつらいことがあれば、苦しくなるのも無理はないだろう。そのなかで頑張っているし、よく話してくれた」とねぎらい、四物湯と桂枝加竜骨牡蛎湯を2包/日ずつ処方した。4週間後には改善しており、表情にも優雅さが戻ってきた。

参考文献

1)宮内倫也:FAQ─ベンゾジアゼピン系薬剤を悪者にしないための使い方.週刊医学会新聞 3197:5, 2016. http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03197_03(2017年8月8日現在) 〈手前味噌だが、BZD薬の現実的な使い方を考えた記事〉
2)Bandelow B, et al : Guidelines for the pharmacological treatment of anxiety disorders, obsessive-compulsive disorder and posttraumatic stress disorder in primary care. Int J Psychiatry Clin Pract 16(2): 77-84, 2012. PMID 22540422 〈プライマリ・ケアにおける不安症および強迫症、心的外傷後ストレス障害の薬物療法ガイドライン。本稿の意義が薄くなるほどによくまとまっている〉
3)Carvalho AF, et al : The safety, tolerability and risks associated with the use of newer generation antidepressant drugs ; a critical review of the literature. Psychother Psychosom 85(5): 270-288, 2016. PMID 27508501 〈新規抗うつ薬のさまざまな副作用を解説している。目を通しておいてほしい〉
4)Raskind MA, et al : A trial of prazosin for combat trauma PTSD with nightmares in active-duty soldiers returned from Iraq and Afghanistan. Am J Psychiatry 170(9): 1003-1010, 2013. PMID 23846759 〈プラゾシンがPTSDの諸症状、特に悪夢に有効であることを示している〉
5)Fava GA, et al : Withdrawal symptoms after selective serotonin reuptake inhibitor discontinuation ; a systematic review. Psychother Psychosom 84(2): 72-81, 2015. PMID 25721705 〈SSRIの中断症状をまとめている。中断症状は不定愁訴とも片づけられてしまうので注意〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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