総合診療27巻9号

2017年09月発行

特集 うつより多い「不安」の診かた—患者も医師も安らぎたい 【実際編＋誌上メンタリング】

—シーン❶“一般外来”で診る心配性な人々—「飲んではいけないって、週刊誌に書かれてました。薬を飲むのも、やめるのも不安です」

著者： 小田倉弘典¹

所属機関： ¹土橋内科医院

ページ範囲：P.1193 - P.1196

Case
患者：71歳　女性。
高血圧・糖尿病・脂質異常症で通院中。
現病歴：週刊誌の新聞広告に、今飲んでいるコレステロール降下薬について「飲んではいけない」「筋肉が溶けてしまう」と書いてあるのを見た。その日からその薬を飲むのが大変怖くなり、服薬をやめてしまった。
　定期受診時、薬を飲んでいないこと、また週刊誌の記事は本当なのかを知りたいと訴えた。主治医から、薬をやめた場合の心筋梗塞を発症するリスクについて聞かされると、今度は「飲まないと、心筋梗塞になって死んでしまうのでは？」という新たな不安で頭の中がいっぱいになってしまった。

参考文献

1）Wittchen HU, et al : Size and burden of mental disorders in Europe--a critical review and appraisal of 27 studies. Eur Neuropsychopharmacol 15（4）: 357-376, 2005. PMID 15961293 〈欧州のプライマリ・ケアにおける各精神障害の有病率が検討されている〉

2）Spitzer RL, et al : A brief measure for assessing generalized anxiety disorder : the GAD-7. Arch Intern Med 166（10）: 1092-1097, 2006. PMID 16717171 〈プライマリ・ケアセッテイングでのGAD-7の感度・特異度が検討されている〉

3）Kroenke K, et al : Anxiety disorders in primary care : prevalence, impairment, comorbidity, and detection. Ann Intern Med 146（5）: 317-325, 2007. PMID 17339617 〈GAD-7とGAD-2の診断精度について評価している〉