文献詳細
文献概要
特集 うつより多い「不安」の診かた—患者も医師も安らぎたい 【実際編+誌上メンタリング】
—シーン❷不安を打ち消すための行為や儀式に縛られている人々—「自分でもばかばかしいと思うことが、やめられない、止まらない」
著者: 宮崎仁1
所属機関: 1宮崎医院
ページ範囲:P.1198 - P.1200
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“クレーマー”かと思ったら……
患者:19歳、男性。浪人生。
現病歴:感冒症状を主訴として、一般内科の開業医を受診した。
待合室で診察の順番を待っている最中に、受付の事務職員に対して「自分の順番が来たはずなのに、あとから来た別の人が先に呼ばれた」とひどく怒っている。院長はその患者を診察室に呼び入れて、不快な気分にさせたことを丁寧に謝罪してから、「当院は予約制なので、あとから来院した予約枠の患者さんを先に診る場合がある」という事情を説明した。すると、患者はとても恥ずかしそうに「数を数えずにはいられないのです。待合室でも、ずっと待っている患者の数を何度も数えていて、次は僕の番だと思ったものですから……」と言った。
改めて問診してみると、2年ほど前から、縁起の悪い4や9の数字が恐ろしくなり、目の前にあるものを何でも数えてしまうようになったということだった。「数えることがばかばかしくなってやめようと思うのですが、数えることをやめるとすごく不安になって、またすぐに数えてしまうのです……」と言って深いため息をついた。
“クレーマー”かと思ったら……
患者:19歳、男性。浪人生。
現病歴:感冒症状を主訴として、一般内科の開業医を受診した。
待合室で診察の順番を待っている最中に、受付の事務職員に対して「自分の順番が来たはずなのに、あとから来た別の人が先に呼ばれた」とひどく怒っている。院長はその患者を診察室に呼び入れて、不快な気分にさせたことを丁寧に謝罪してから、「当院は予約制なので、あとから来院した予約枠の患者さんを先に診る場合がある」という事情を説明した。すると、患者はとても恥ずかしそうに「数を数えずにはいられないのです。待合室でも、ずっと待っている患者の数を何度も数えていて、次は僕の番だと思ったものですから……」と言った。
改めて問診してみると、2年ほど前から、縁起の悪い4や9の数字が恐ろしくなり、目の前にあるものを何でも数えてしまうようになったということだった。「数えることがばかばかしくなってやめようと思うのですが、数えることをやめるとすごく不安になって、またすぐに数えてしまうのです……」と言って深いため息をついた。
参考文献
1)Matsunaga H, et al : Symptom structure in Japanese patients with obsessive-compulsive disorder. Am J Psychiatry 165(2): 251-253, 2008. PMID 18006873 〈日本人にみられる強迫症状に関する調査研究〉
2)松永寿人:強迫症.貝谷久宣,他(編):こころの科学増刊 不安症の事典,pp74-78,日本評論社,2015. 〈心理職や一般読者を対象にした強迫症の平易な解説〉
3)Grant JE : Clinical practice ; obsessive-compulsive disorder. N Engl J Med 371(7): 646-653, 2014. PMID 25119610 〈強迫症に関する最新の総説〉
4)Fenske JN, et al : Obsessive-compulsive disorder ; diagnosis and management. Am Fam Physician 92(10): 896-903, 2015. PMID 26554283 〈家庭医を対象とした強迫症に関する簡潔な総説〉
5)Schneider RK, et al. 2008/井出広幸,他(監訳) : ACP 内科医のための「こころの診かた」─ここから始める! あなたの心療.pp189-197, 丸善,2009. 〈内科医を対象とした強迫症の診療に関する実践的ガイド〉
6)井出広幸,他:見逃さないで! あなたも診ている心の病気CASE 3「分かっちゃいるけど、気になってしまう人」への対応─プライマリケアで診る強迫性障害.日本医事新報 4547 : 35-38, 2011. 〈プライマリ・ケアの外来診療で強迫症を見逃さないための対応が学べる〉
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