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特集 うつより多い「不安」の診かた—患者も医師も安らぎたい 【実際編+誌上メンタリング】
—シーン❸“救急”で診る不安—「バリキャリ風の若い女性が過換気で…。きっとパニック症だね!」
著者: 田中博之1
所属機関: 1帝京大学 ちば総合医療センター・救命救急センター
ページ範囲:P.1202 - P.1205
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てっきり「過換気症候群」かと……
患者:35歳、女性。会社員。
現病歴:外来受付から「患者さんが苦しがっている」と連絡があった。駆けつけると、スーツを着こなした“バリバリのキャリアウーマン風”の女性が、頻呼吸で1回換気量は過大、発汗著明、Trousseau徴候(助産師手位)で長椅子にもたれていた。手足のしびれも訴えている。救急外来に移送し、過換気や呼吸性アルカローシス症状の寛解を待った。しばらくすると症状は消退してきたが、右手のしびれが治らない。その他に明らかな神経学的異常はなかった。
話をうかがうと、過換気をきたしたのは初めてであることと、来院前にひどい頭痛がした(そのために受診した)ことがわかった。緊急MRI検査を実施したところ、「小脳梗塞(急性期)」だった。
てっきり「過換気症候群」かと……
患者:35歳、女性。会社員。
現病歴:外来受付から「患者さんが苦しがっている」と連絡があった。駆けつけると、スーツを着こなした“バリバリのキャリアウーマン風”の女性が、頻呼吸で1回換気量は過大、発汗著明、Trousseau徴候(助産師手位)で長椅子にもたれていた。手足のしびれも訴えている。救急外来に移送し、過換気や呼吸性アルカローシス症状の寛解を待った。しばらくすると症状は消退してきたが、右手のしびれが治らない。その他に明らかな神経学的異常はなかった。
話をうかがうと、過換気をきたしたのは初めてであることと、来院前にひどい頭痛がした(そのために受診した)ことがわかった。緊急MRI検査を実施したところ、「小脳梗塞(急性期)」だった。
参考文献
1)Morrison J, 2014/松崎朝樹(監訳):精神科診断戦略─モリソン先生のDSM-5徹底攻略case 130. pp163-169, 医学書院,2016. 〈DSM-5に準拠した超具体的で戦略的な精神科診断学。p.1255〉
2)山口陽子,他:救急車搬送症例は診断不明確とされることが少なくない─愁訴・態様・症候による分類を用いる試み.日臨救急医会誌 18(5):611-617, 2015.
3)木村勝智,他:見逃さないで! あなたも診ている心の病気CASE 2「急に動悸がしたり,呼吸が苦しくなる人」への対応─プライマリケアで診るパニック障害.日本医事新報 4543:35-38, 2011. 〈プライマリケアの外来診療でのパニック発作/パニック症への対応が学べる〉
4)Morrison J, 2014/高橋祥友(監訳),高橋晶,他(訳):モリソン先生の精神科診断講座.pp137-144,医学書院,2016. 〈より適切にパニック症の診断を下すための理論とテクニックを学べる〉
5)Schneider RK, et al. 2008/井出広幸,他(監訳):ACP 内科医のための「こころの診かた」─ここから始める! あなたの心療.pp135-141, 丸善,2008. 〈内科医を対象としたパニック発作/パニック症の診療に関する手引き〉
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