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オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・22
酒飲みの腹水? やっぱり…
著者: 山中裕介1 杉田周一1 徳田安春2
所属機関: 1沖縄県立宮古病院総合診療科 2臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄センター
ページ範囲:P.1440 - P.1444
文献購入ページに移動患者:44歳、女性。
主訴:腹痛。
現病歴:受診1週間前から下腹部痛が出現した。腹痛は徐々に増悪しており、いきむと増強する。食事の度に痛みがあるが、下痢、嘔吐、黒色便、鮮血便は認めなかった。近医クリニックを受診し、腹部超音波検査で腹水の貯留を認めたため、紹介受診となった。
既往歴:高血圧、不眠症。C型肝炎キャリア(輸血歴なし、タトゥーによるものと考えられる)。子宮頸部高度異形成で、2年前に円錐切除術を受け、その病理結果で、肉芽腫性病変の指摘があった。婦人科でのフォローアップなし。
内服歴:アムロジピン5mg 1錠 分1、ウルソデオキシコール酸100mg 3錠 分3、トラゾドン25mg 1錠 分1、フルニトラゼパム1mg 1錠 分1、レボメプロマジン25mg 1錠 分1、スボレキサント20mg 1錠 分1。
生活歴:スナックに勤務。飲酒;泡盛水割り10杯以上/日。喫煙;1箱/日、24 pack years。S県出身、宮古島市に移住後9年。離婚後、母子家庭。最終月経;2週間前、不順なし。1年以内の性交渉歴なし。
来院時身体所見:
●概観:身長158cm、体重79kg、BMI 31。
●バイタルサイン:体温37.2℃、血圧114/67mmHg、脈拍数86回/分、呼吸数18回/分、SpO2 94%(室内気)。
●頭頸部:眼瞼結膜の黄疸や蒼白なし、有意なリンパ節腫脹なし、甲状腺腫大なし。
●肺野:肺雑音なし。
●心音:整。心雑音なし、過剰心音なし。
●腹部:膨満。下腹部は軽度圧痛あり、反跳痛なし。鼠径リンパ節腫大なし。
●四肢:下腿浮腫なし。左上腕にタトゥーあり。
入院時検査所見:
血算:WBC 5,800/μL(Neut 63%)、RBC 486×104/μL、Hb 12.3g/dL、Ht 37.6%、Plt 28.6×104/μL。
生化学:TP 7.4g/dL、Alb 3.3g/dL、Na 138mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 110mEq/L、Ca 8.3mg/dL、BUN 8.7mg/dL、Cr 0.9 mg/dL、AST 23IU/L、ALT 12IU/L、LDH 267IU/L、γ-GTP 10IU/L、T-Bil 0.5mg/dL、AMY 24IU/L(正常16〜51IU/L)、HIV抗体 陰性、HCV抗体 陽性。
凝固:APTT 29.5秒、PT 77%、PT-INR 1.21。
尿検査:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、白血球(3+)。
胸部CT/腹部造影CT:図1〜3。
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