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文献詳細

雑誌文献

総合診療28巻11号

2018年11月発行

文献概要

国試にたずねよ・23

木を診ず森から診よ

著者: 山中克郎1

所属機関: 1諏訪中央病院総合内科

ページ範囲:P.1547 - P.1550

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 ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史—文明の構造と人類の幸福』1)を読んだ。衝撃的な内容だった。狩猟生活から農耕生活へと移行した農業革命を「史上最大の詐欺」だったと説く。食物生産力が高まり、上流階級の生活は向上したが、多くの人々の生活は悪化し、持てる者と持たざる者の格差が生まれた。
 “貨幣”や“宗教”という神話(空想上の概念)を信ずることで、見知らぬ人同士が力を合わせてきた。物々交換では、経済の発展は限定的だ。ある人が自分のつくった米と別の人が持つチーズを交換したいと思っても、チーズを持つ人は米を必要としないかもしれないからだ。誰もが“貨幣”という共通の価値を認めることにより、多くの人との交易が可能となり経済は発展してきた。

参考文献

1)ユヴァル・ノア・ハラリ(著),柴田裕之(訳):サピエンス全史—文明の構造と人類の幸福(上)(下).河出書房新社,2016.
2)高岸勝繁(著),清田雅智(監修):ホスピタリストのための内科診療フローチャート—専門的対応が求められる疾患の診療の流れとエビデンス.pp489-494,シーニュ,2016.
3)Binder WD, et al:Case 37-2010;a 16-year-old girl with confusion, anemia, and thrombocytopenia. N Engl J Med 363(24) : 2352-2361, 2010. PMID 21142538

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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