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文献詳細

雑誌文献

総合診療28巻12号

2018年12月発行

文献概要

What's your diagnosis?[192]

キャンプで煽る人はサルより珍しい

著者: 横江正道1 末松篤樹1 宮川慶1 田口雄一郎1 佐藤哲彦1 久田敦史1 吉見祐輔1 野口善令1

所属機関: 1名古屋第二赤十字病院 総合内科

ページ範囲:P.1605 - P.1609

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病歴
患者:63歳、男性。
主訴:発熱、腹痛。
現病歴:約5週間前の夜中に、右肘と両側大腿に10cm大の紅色丘疹が出現。熱感と痛みがあり、歩行しづらくなった。その1週間後、37.5℃の発熱と倦怠感を自覚し、近医を受診した。診断は不明で、リンデロン0.5mg2錠/日が処方された。その2週間後にも右肘に紅斑が出現し、結節性紅斑が疑われるため、当院皮膚科に紹介受診となった。右肘の紅斑は有痛性であったため、結節性紅斑と考えられ、ロキソプロフェンが処方された。しかし紅斑は改善しないため、翌日には右蜂窩織炎としてセフォチアムが追加処方された。以後2週間、微熱、倦怠感、水様下痢〜軟便が持続した。さらにその1週間後、38℃の発熱、悪寒、下腹部痛が出現したため、当院皮膚科から総合内科に紹介となった。総合内科受診時点では、水様下痢と紅斑は改善していた。自覚症状に、咳、痰、咽頭痛、鼻汁、血便、排尿時痛、排尿困難、残尿感、尿意切迫感はなかった。
職業:会社役員。
生活習慣:特記すべきことなし。
嗜好品:喫煙;20歳〜15本/日×約40年、飲酒;缶ビール2本/日。
旅行歴:海外・温泉ともになし。
家族歴:特記すべきことなし(4人暮らしだが、同じ症状の人はいない)。
既往歴:高血圧あり。痛風(30歳)、多発脳梗塞(43歳、無症候性)、肺炎(50歳)。高脂血症・糖尿病はなし。
内服薬:カンデサルタン、アムロジピン、アスピリン、メコバラミン、ファモチジン。
追加された薬剤:ロキソプロフェン、セフォチアム。
アレルギー:なし。

参考文献

1)Gornik HL, et al : Aortitis. Circulation 117(23) : 3039-3051, 2008. PMID 18541754 〈炎症性と感染性を比較しながら、大動脈炎がまとめられている〉
2)Agrawal A, et al : Infective abdominal aortitis due to Campylobacter fetus bacteremia ; a case report and review of literature. Intractable Rare Dis Res 5(4) : 290-293, 2016. PMID 27904826 〈カンピロバクターによる大動脈炎の症例報告〉
3)Montero A, et al : Campylobacter fetus-associated aneurysms ; report of a case involving the popliteal artery and review of the literature. Clin Infect Dis 24(5) : 1019-1021, 1997. PMID 9142823 〈Campylobacter fetusによる大動脈瘤の症例報告〉
4)Kaakoush NO, et al : Global epidemiology of Campylobacter infection. Clin Microbiol Rev 28(3) : 687-720, 2015. PMID 26062576 〈カンピロバクターによるさまざまな感染症の最近のトレンドがまとめられている〉
5)Bossone E, et al : Aortitis. Vascul Pharmacol 80 : 1-10, 2016. PMID 26721213 〈大動脈炎の最近のまとめが掲載されている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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