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特集 糖尿病のリアル—現場の「困った!」にとことん答えます。 複雑困難事例の「こんな時どうする!?」
CASE1 「太く短く生きられればいいんです。治療の必要はありません!」—病識がなく治療に非協力的な患者さん
著者: 岡崎研太郎1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科 地域医療教育学寄附講座
ページ範囲:P.350 - P.354
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服薬や通院が不規則な働き盛りの糖尿病患者
患者:46歳、男性。2型糖尿病。妻と4人の子どもがおり、マンションを購入したばかり。
現病歴:3年前に会社の健康診断で高血糖を指摘され、当院を受診。空腹時血糖141mg/dL、HbA1c 7.1%で、糖尿病と診断。栄養士から食事指導を受け、メトホルミン250mg 3錠分3毎食後(ビグアナイド薬)が開始された。
当初は血糖コントロールが改善していたが、数カ月後から徐々に悪化した。昼は仕事で忙しく、夜は接待が多いため薬の飲み忘れが多いとのことで、シタグリプチン50mg 1錠分1朝食後(DPP-4阻害薬)に変更した。しかしHbA1cは改善せず、カナグリフロジン100mg 1錠(SGLT-2阻害薬)を追加した。
その後、診察予約日に来院せず予約を変更することが増え、2〜3カ月受診間隔が開くこともあった。週に1回の注射薬デュラグルチド(トルリシティ®皮下注0.75mgアテオス®。GLP-1受容体作動薬、p.333・358・364)を導入した際には、久しぶりにHbA1c 7.5%まで改善したが、「痛いし、面倒なので」と中止し、以降は8〜10%で推移している。
服薬や通院が不規則な働き盛りの糖尿病患者
患者:46歳、男性。2型糖尿病。妻と4人の子どもがおり、マンションを購入したばかり。
現病歴:3年前に会社の健康診断で高血糖を指摘され、当院を受診。空腹時血糖141mg/dL、HbA1c 7.1%で、糖尿病と診断。栄養士から食事指導を受け、メトホルミン250mg 3錠分3毎食後(ビグアナイド薬)が開始された。
当初は血糖コントロールが改善していたが、数カ月後から徐々に悪化した。昼は仕事で忙しく、夜は接待が多いため薬の飲み忘れが多いとのことで、シタグリプチン50mg 1錠分1朝食後(DPP-4阻害薬)に変更した。しかしHbA1cは改善せず、カナグリフロジン100mg 1錠(SGLT-2阻害薬)を追加した。
その後、診察予約日に来院せず予約を変更することが増え、2〜3カ月受診間隔が開くこともあった。週に1回の注射薬デュラグルチド(トルリシティ®皮下注0.75mgアテオス®。GLP-1受容体作動薬、p.333・358・364)を導入した際には、久しぶりにHbA1c 7.5%まで改善したが、「痛いし、面倒なので」と中止し、以降は8〜10%で推移している。
参考文献
1)Anderson B, et al. 2005/石井均(監訳):糖尿病エンパワーメント 第2版—愛すること,おそれること,成長すること.医歯薬出版,2008. 〈糖尿病エンパワーメントについて、まず読むべき本。「指示する—従う」関係から「協同して問題を解決する」患者—医療者関係への理念と実践〉
2)Anderson RM, et al. 2003/門脇孝(監訳),大橋健(訳):行動変化をうながす 糖尿病エンパワーメント101のコツ.医歯薬出版,2005. 〈糖尿病患者に関わる医療者が臨床現場で直面する悩みや迷いを、101題のQ&A形式でユーモアを交えて解説〉
3)石井均:糖尿病医療学入門—こころと行動のガイドブック.医学書院,2011. 〈糖尿病患者の心理と行動について、理論的背景から患者支援の具体的方法まで豊富な文献とともに詳述されている〉
4)蓮行,他.:演劇コミュニケーション学.日本文教出版,2016. 〈演劇を授業に活用する意義の実践例を踏まえた解説。糖尿病劇場を理解するうえでも参考になる〉
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