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特集 感染症外来診療「賢医の選択」—検査・経口薬・ワクチンをどう使えばいいんですか? 【感染症関連検査のChoosing Wisely—白血球とCRPを越えて】
溶連菌迅速抗原検査および培養
著者: 上原由紀1
所属機関: 1順天堂大学大学院医学研究科感染制御科学/総合診療科
ページ範囲:P.476 - P.479
文献購入ページに移動Pitfall Case
咽頭の溶連菌迅速抗原検査が陰性の急性扁桃炎の1例
患者:24歳、男性。
既往歴:幼少時から咽頭扁桃腫大があり、成人後も年2〜3回扁桃炎をきたしている。
現病歴:3日前から急激な咽頭痛と発熱をきたし、以前処方されて家に残っていた経口第三世代セフェム系薬とNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を内服したが、嚥下痛が強くなり発熱も続くため、内科外来を受診した。
NSAIDs内服下で体温37.2℃、強い嚥下痛を訴える。咽頭扁桃は両側とも腫大し、発赤と白苔の付着を認める。また、両側性に前頸部から顎下のリンパ節腫脹と圧痛を認める。
両側の扁桃から白苔を採取して溶連菌迅速抗原検査を行ったが、陰性であった。しかし嚥下痛が強いため、耳鼻科にも診察を依頼したところ、両側とも扁桃周囲膿瘍となっていた。入院のうえで切開排膿およびペニシリンG点滴による加療を行い、回復した。膿瘍内容のグラム染色では、多数のグラム陽性レンサ球菌を認めたが、培養では発育しなかった。
咽頭の溶連菌迅速抗原検査が陰性の急性扁桃炎の1例
患者:24歳、男性。
既往歴:幼少時から咽頭扁桃腫大があり、成人後も年2〜3回扁桃炎をきたしている。
現病歴:3日前から急激な咽頭痛と発熱をきたし、以前処方されて家に残っていた経口第三世代セフェム系薬とNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を内服したが、嚥下痛が強くなり発熱も続くため、内科外来を受診した。
NSAIDs内服下で体温37.2℃、強い嚥下痛を訴える。咽頭扁桃は両側とも腫大し、発赤と白苔の付着を認める。また、両側性に前頸部から顎下のリンパ節腫脹と圧痛を認める。
両側の扁桃から白苔を採取して溶連菌迅速抗原検査を行ったが、陰性であった。しかし嚥下痛が強いため、耳鼻科にも診察を依頼したところ、両側とも扁桃周囲膿瘍となっていた。入院のうえで切開排膿およびペニシリンG点滴による加療を行い、回復した。膿瘍内容のグラム染色では、多数のグラム陽性レンサ球菌を認めたが、培養では発育しなかった。
参考文献
1)Gieseker KE,et al : Comparison of two rapid Streptococcus pyogenes diagnostic tests with a rigorous culture standard. Pediatr Infect Dis J 21(13) : 922-927, 2002. PMID 12394813 〈米国の研究。咽頭炎患者の咽頭培養結果に対し、2種類の迅速抗原検査の感度・特異度を比較したもの〉
2)Nakhoul GN, et al : Management of adults with acute streptococcal pharyngitis ; minimal value for backup strep testing and overuse of antibiotics. J Gen Intern Med 28(6) : 830-834, 2013. PMID 23054930 〈米国の研究。急性咽頭炎と診断された18歳以上の患者において、迅速検査の偽陰性は6%であった〉
3)Tanz RR, et al : Performance of a rapid antigen-detection test and throat culture in community pediatric offices ; implications for management of pharyngitis. Pediatrics 123(2) : 437-444, 2009. PMID 19171607 〈米国の研究。急性咽頭炎患者においてMcIsaac Scoreが2点以上だと、迅速検査と培養の感度と特異度が高い〉
4)Fine AM, et al : Large-scale validation of the Centor and McIsaac Scores to predict group A streptococcal pharyngitis. Arch Intern Med 172(11) : 847-852, 2012. PMID 22566485 〈米国の研究。15歳以上で咽頭痛を訴える患者において、Centor and McIsaac Scoreが高くなると検査陽性率が高まる〉
5)Shulman ST, et al : Clinical practice guideline for the diagnosis and management of group A streptococcal pharyngitis ; 2012 update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis 55(10) : 1279-1282, 2012. PMID 23091044 〈米国感染症学会によるA群溶連菌咽頭炎の診療ガイドライン〉
6)Snellman LW, et al : Duration of positive throat cultures for group A streptococci after initiation of antibiotic therapy. Pediatrics 91(6) : 1166-1170, 1993. PMID 8502522 〈米国の研究。小児の急性A群溶連菌咽頭炎では、抗菌薬開始後24時間で咽頭培養が陰性となる〉
7)Cantanzaro FJ, et al : The role of the streptococcus in the pathogenesis of rheumatic fever. Am J Med 17(6) : 749-756, 1954. PMID 13207156 〈米国の研究。抗菌薬投与によるリウマチ熱の予防効果は、咽頭炎発症後9日目まで認められる〉
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