文献詳細
文献概要
診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・14
肺超音波の基本事項
著者: 亀田徹1
所属機関: 1安曇野赤十字病院救急科
ページ範囲:P.694 - P.698
文献購入ページに移動はじめに
「肺超音波」とは?
今回から「呼吸器」に入ります。呼吸器の超音波と言えば、まず胸水の評価が思い浮かびますが、他の利用については馴染みのない方が少なくないと思われます。本邦では1970年代後半に呼吸器領域(呼吸器病学)に超音波診断法が導入され、1980年代にその根幹が確立され、腫瘍性病変の診断や胸水の評価を中心に利用されてきました1)。一方、超音波による気胸や肺水腫の評価については、1990年代に救急・集中治療領域で注目され始め、多くの臨床研究を通じて一定の有用性が示されてきました2〜4)。この領域独自の用語が定められ、現在ではPoint-of-Care超音波として利用されるに至ります。
このように、呼吸器の超音波診断には2つの流れがあり、整合性が十分に得られていない部分があります。今後は、呼吸器領域とPoint-of-Care超音波を扱う領域との間で、共通の基盤を形成していく必要があります。本連載では、呼吸器領域の超音波診断を意識しながら、Point-of-Care超音波のアプローチに基づき、「肺超音波(lung ultrasound)」として取り上げてみたいと思います。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年4月30日まで)。
「肺超音波」とは?
今回から「呼吸器」に入ります。呼吸器の超音波と言えば、まず胸水の評価が思い浮かびますが、他の利用については馴染みのない方が少なくないと思われます。本邦では1970年代後半に呼吸器領域(呼吸器病学)に超音波診断法が導入され、1980年代にその根幹が確立され、腫瘍性病変の診断や胸水の評価を中心に利用されてきました1)。一方、超音波による気胸や肺水腫の評価については、1990年代に救急・集中治療領域で注目され始め、多くの臨床研究を通じて一定の有用性が示されてきました2〜4)。この領域独自の用語が定められ、現在ではPoint-of-Care超音波として利用されるに至ります。
このように、呼吸器の超音波診断には2つの流れがあり、整合性が十分に得られていない部分があります。今後は、呼吸器領域とPoint-of-Care超音波を扱う領域との間で、共通の基盤を形成していく必要があります。本連載では、呼吸器領域の超音波診断を意識しながら、Point-of-Care超音波のアプローチに基づき、「肺超音波(lung ultrasound)」として取り上げてみたいと思います。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年4月30日まで)。
参考文献
1)名取博,他:超音波診断法の呼吸器疾患への応用.太田保世,他(編):Annual Review 呼吸器.pp71-80,中外医学社,1987.
2)亀田徹,他:外傷性気胸の超音波診断—FASTからEFASTへ.日救急医会誌 23(4) : 131-141, 2012.
3)Lichtenstein D, et al : The comet-tail artifact ; an ultrasound sign of alveolar-interstitial syndrome. Am J Respir Crit Care Med 156(5) : 1640-1646, 1997. PMID 9372688
4)Volpicelli G, et al : International evidence-based recommendations for point-of-care lung ultrasound. Intensive Care Med 38(4) : 577-591, 2012. PMID 22392031
5)Soldati G, et al : “Synthetic” comets ; a new look at lung sonography. Ultrasound Med Biol 37(11) : 1762-1770, 2011. PMID 21924815
6)名取博,他:体表臓器およびその他の領域—1アプローチ法と正常像.日本超音波医学会(編):新超音波医学4.pp 368-375,医学書院,2000.
7)Lichtenstein D, et al : The “lung point” ; an ultrasound sign specific to pneumothorax. Intensive Care Med 26(10) : 1434-1440, 2000. PMID 11126253
8)Lichtenstein DA, et al : Relevance of lung ultrasound in the diagnosis of acute respiratory failure ; the BLUE protocol. Chest 134(1) : 117-125, 2008. PMID 18403664
9)Liteplo AS, et al : Emergency thoracic ultrasound in the differentiation of the etiology of shortness of breath(ETUDES) ; sonographic B-lines and N-terminal pro-brain-type natriuretic peptide in diagnosing congestive heart failure. Acad Emerg Med 16(3): 201-210, 2009. PMID 19183402
掲載誌情報