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文献詳細

雑誌文献

総合診療28巻6号

2018年06月発行

文献概要

特集 聴診・触診×エコーで診断推論!—Point-of-Care超音波(POCUS)の底力 【各論】

呼吸音とエコー—肺エコーと胸部聴診

著者: 関谷充晃1

所属機関: 1埼玉県済生会川口総合病院呼吸器内科

ページ範囲:P.786 - P.791

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Case1
患者:79歳、男性。
主訴:発熱、咳嗽、喀痰。
既往歴:脳梗塞(78歳)。
現病歴:脳梗塞後遺症の診断で、通院中に38.2℃の発熱、咳嗽、膿性痰を自覚。受診当日も38.0℃の発熱が続くため、当院を受診した。家人の話では、食事摂取の際に、たびたびむせ込んでいたという。
身体所見:意識清明。血圧148/84mmHg, 脈拍数92回/分、呼吸数18回/分、体温38.2℃、SpO2 92%(室内気)。胸部聴診では、右下背部で気管支呼吸音と吸気時の湿性の断続性ラ音(pan-inspiratory+crackle)(動画6)を聴取した。
Point-of-Care超音波(POCUS):脳梗塞の既往のある高齢男性で、病歴と身体所見から右肺炎、特に誤嚥性肺炎が疑われた。気管支呼吸音と湿性ラ音が聴取される右下背部を、超音波診断装置で観察した。胸膜直下に呼吸性に頭尾方向に移動する肺内病変を認めた。同病変内には吸気・呼気により増減する多数の点状の高エコーが見られた(図1・動画7)。
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2020年5月31日まで)。

参考文献

1)McGee S. 2007/柴田寿彦(監訳):マクギーの身体診断学(第2版).pp242-246,診断と治療社,2009. <日常診療に必要な診察法の実際を,エビデンスに基づいて簡潔にわかりやすく解説している名著>
2)Lichtenstein DA, et al : Relevance of lung ultrasound in the diagnosis of acute respiratory failure ; the BLUE protocol. Chest 134(1) : 117-125, 2008. PMID 18403664 <初療の段階で行う肺エコーが呼吸不全患者の鑑別に有用であることを示した>
3)Chavez MA, et al : Lung ultrasound for the diagnosis of pneumonia in adults ; a systematic review and meta-analysis. Respir Res 15(4) : 1-9, 2014. PMID 24758612 <システマティックレビュー,メタ解析により,肺エコーが成人肺炎の診断に有用であることを示した>
4)Wang CS, et al : Does this dyspneic patient in the emergency department have congestive heart failure? JAMA 294(15) : 1944-1956, 2005. PMID 16234501 <呼吸困難で救急を受診した心不全患者における臨床症状,身体所見等のレビュー>
5)Ding W, et al : Diagnosis of pneumothorax by radiography and ultrasonography ; a meta-analysis. Chest 140(4) : 859-866, 2011. PMID 21546439 <気胸の診断において,肺エコーの胸部X線の診断精度を比較検討したメタ解析>

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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