icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療28巻9号

2018年09月発行

文献概要

特集 オンコ・ジェネラリスト—「がん」に強い総合診療医をめざして 【治療に関わる!連携する!】

多職種連携と意思決定支援❷診療所医師編

著者: 岩本善嵩1

所属機関: 1岩本診療所こうべ往診クリニック

ページ範囲:P.1230 - P.1233

文献購入ページに移動
Case
患者:69歳、女性。高齢の夫と2人暮らし。ほぼベッド上で寝たきり。
既往歴:5年前に盲腸がんの手術歴あり。盲腸がんの脳転移巣に対して放射線治療歴あり。
現病歴:けいれん重積発作にて、がん治療後も外来通院中だったA病院に緊急入院。嚥下障害があり、右上肢のポートから高カロリー輸液、抗てんかん薬であるレベチラセタム(イーケプラ®)の点滴にて加療。本人・家族は「家に帰りたい」と思っている。
 入院後24日目に退院前カンファレンスが開催され、A病院主治医から「自宅にてイーケプラ®点滴投与が可能かどうか」の問い合わせがあり、「訪問調剤」「訪問看護」を利用することで施行可能な旨を伝えた。入院後40日目に2回目の退院前カンファレンスが開催され、入院後52日目に退院した。
 退院前に嚥下機能は少し回復しており、経口摂取とイーケプラ®錠の内服が可能な状態で在宅療養を開始した。退院後38日目には嚥下困難となり、イーケプラ®点滴投与に切り替えた。けいれん発作を起こすことなく徐々に衰弱が進行し、退院後95日目に自宅にて看取りとなった。

参考文献

1)Abernethy AP, et al : Delivery strategies to optimize resource utilization and performance status for patients with advanced life-limiting illness ; results from the "palliative care trial" [ISRCTN 81117481]. J Pain Symptom Manage 45(3) : 488-505, 2013. PMID 23102711〈多職種による退院前カンファレンスは、がん患者の再入院率を減少させると同時に、performance statusを維持させることが報告されている〉
2)森田達也,他:地域緩和ケアにおける「顔の見える関係」とは何か? Palliative Care Res 7(1) : 323-333, 2012. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspm/7/1/7_1_323/_article/-char/ja/〈多職種の医療・福祉従事者207名を対象とした質問紙調査によって、「顔の見える関係」の概念と地域連携への影響について述べている〉
3)山岸暁美,他:終末期がん患者に在宅療養移行を勧める時の望ましいコミュニケーション—多施設遺族研究.癌と化学療法42(3) : 327-333, 2015. PMID 25812502〈病院医療者と在宅医療者の連携がとれていると感じると、患者家族の在宅移行時におけるつらい気持ちやコミュニケーションの改善の必要性が減ることが示されている〉
4)清水政克:在宅看取りで知っておきたいこと.緩和ケア28(3) : 182-187, 2018.〈在宅での看取りに関して知っておくべき実践的な内容を具体的にまとめている〉
5)厚生労働省:人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン.2018. https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000197665.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?