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文献詳細

雑誌文献

総合診療28巻9号

2018年09月発行

文献概要

特集 オンコ・ジェネラリスト—「がん」に強い総合診療医をめざして 【緩和“治療”は任せて!】

できるようになりたい! 症状マネジメントのツボ❷抑うつ・不安

著者: 平山貴敏1 清水研1

所属機関: 1国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科

ページ範囲:P.1244 - P.1247

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Case
がん告知後に「うつ病」を発症したケース
患者:43歳、女性。乳がん。
生活歴:夫・長女・次女と4人暮らし。専業主婦。
現病歴:がん検診で異常を指摘され、近医を受診。乳がんが疑われ、当院を紹介受診。精査の結果、「乳がん」で手術が必要であるという告知を受けた。
 その直後から、今後の治療や予後への不安を感じ、不眠・食欲不振が出現。表情は暗く、「定期検診を受けていたのに……。もっとたくさん検査すればよかった。いつまで生きられるだろう……」と涙を流した。抗不安薬を処方し、支持的に傾聴したが、2週間経っても改善しなかった。「うつ病」と診断し、抗うつ薬を開始したあとは徐々に改善し、治療に対して前向きな発言が増えた。

参考文献

1)Akizuki N, et al : Development of an Impact Thermometer for use in combination with the Distress Thermometer as a brief screening tool for adjustment disorders and/or major depression in cancer patients. J Pain Symptom Manage 29(1) : 91-99, 2005. PMID 15652442 〈スクリーニングツールである「つらさと支障の寒暖計」について書かれている。なお、同ツールは下記URLよりダウンロードできる〉 http://plaza.umin.ac.jp/~pcpkg/dit/dit.pdf(2018年8月8日現在)
2)髙橋三郎,他(監訳):DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引.医学書院,2014.〈うつ病や適応障害などの精神疾患の診断基準が書かれている〉
3)「がんの社会学」に関する研究グループ:2013 がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査報告書「がんと向き合った4,054人の声」.2016.〈がん患者の実態調査の報告書であり、具体的な不安の内容について書かれている〉
4)日本医師会(監修):緩和ケアガイドブック 新版-Ⅱ症状マネジメント6.気持ちのつらさ.pp77-81,青海社,2017.〈緩和ケア領域における、気持ちのつらさに対する対応法について書かれている〉
5)清水研:見逃せない病態と対処法—サイコオンコロジー.CANCER BOARD乳癌6(2) : 159-162, 2014.〈がん患者の心理的苦痛やその対応法について書かれている〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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