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文献詳細

雑誌文献

総合診療28巻9号

2018年09月発行

文献概要

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・21

画像陰性脳梗塞!?—急がば回れ

著者: 北原武尊1 伊敷洋平1 新里敬1 徳田安春2

所属機関: 1社会医療法人敬愛会中頭病院総合内科 2臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄センター

ページ範囲:P.1280 - P.1283

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CASE
患者:76歳、男性。
主訴:呂律が回らない、うまく歩けない。
現病歴:入院2週間前から左下肢の軽いしびれを自覚した。6日前に両側前腕(左優位)にもしびれが出現し、翌日当院外来を受診。左下肢の軽度筋力低下と左尺骨神経領域に、叩打によるしびれの増強が認められた。腰椎X線では有意な異常所見なく、2日後に脊椎単純MRI検査が施行され、L4/5の椎間板変性や膨隆が認められ、腰部脊柱管狭窄症と診断された。症状が軽度のため、対症療法で帰宅となった。入院2日前の夕方、右口角から水がこぼれるようになり、味覚変化が出現、翌日には歩行がおぼつかなくなった。受診当日から右眼の閉眼ができなくなり、呂律難も出現したため、当院再受診。
既往歴:前立腺肥大症(近医通院中)。健康診断受診歴なし。
常用薬:シロドシン4mg、エビプロスタット® 配合錠DB 3錠。
家族歴:母が不整脈のためペースメーカー留置。脳卒中の家族歴なし。
嗜好歴・生活歴:喫煙中(30本/日×56年間)。以前は泡盛を毎日2杯、3年前から断酒。58歳まで農業に従事、その後タクシー運転手。
アレルギー:食事・薬剤ともになし。
review of systems:出現した症状は今回初めて自覚。1カ月前に咳嗽と喀痰があり、下痢はなかった。腰部違和感は以前より自覚。3年前に排尿困難と頻尿があったが、薬物療法で改善。その他、特記事項なし。

参考文献

1)Merino JG, et al : Predictors of acute stroke mimics in 8187 patients referred to a stroke service. J Stroke Cerebrovasc Dis 22(8) : e397-e403, 2013. PMID 23680681
2)日本神経学会(監):ギラン・バレー症候群.フィッシャー症候群診療ガイドライン2013.南江堂,2013.
3)van Doorn PA, et al : Clinical features, pathogenesis, and treatment of Guillain-Barré syndrome. Lancet Neurol 7(10) : 939-950, 2008. PMID 18848313
4)Walling AD, et al : Guillain-Barré syndrome. Am Fam Physician 87(3) : 191-197, 2013. PMID 23418763
5)NICE : Stroke and transient ischaemic attack in over 16s ; diagnosis and initial management. 2008. https://www.nice.org.uk/guidance/CG68(2018年7月23日閲覧)
6)Oppenheim C, et al : False-negative diffusion-weighted MR findings in acute ischemic stroke. AJNR Am J Neuroradiol 21(8) : 1434-1440, 2000. PMID 11003275
1)Tham SL, et al : Guillain-Barré syndrome mimics. Brain Behav 8(5) : e00960, 2018. PMID 29761013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

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