icon fsr

文献詳細

雑誌文献

総合診療29巻10号

2019年10月発行

文献概要

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・34

“バイアス”は、やバイアス!!

著者: 野波啓樹1 名嘉村敬12 栗原健1 鈴木智晴1 金城俊一1 徳田安春3

所属機関: 1社会医療法人 仁愛会 浦添総合病院 病院総合内科 2社会医療法人 仁愛会 浦添総合病院 呼吸器センター 3臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄センター

ページ範囲:P.1270 - P.1274

文献購入ページに移動
CASE
患者:81歳、男性。
主訴:意識障害。
現病歴:入院2週間前から意識障害(Japan Coma Scale : JCS 1)、全身倦怠感と便秘が出現した。入院2週間前と10日前に他院脳神経外科医院を受診し、頭部単純MRI等を施行されたが、特に異常はなかった。その後意識障害が進行し(JCS 3)、便秘(5日間)も持続した。入院前日に別の医院で測定した血清カルシウム値が16.8mg/dLであり、精査加療目的に当院を紹介受診した。
Review of System:
+:意識障害、全身倦怠感、便秘、口渇、多飲、多尿。
-:悪心嘔吐、体重減少、筋力低下、発熱、悪寒戦慄、頭痛、胸痛、腹痛、血痰、血尿、喘鳴、呼吸困難、関節痛、筋痛。
既往歴:高血圧症。
内服薬:アムロジピン5mg、カンデサルタン8mg。入院3週間前から海外産カルシウム製剤(ポリカルボフィルカルシウム乾燥物として600mg/日、図1)を内服。
家族歴:特記事項なし。
生活歴/嗜好歴:ADL(actibities of daily living)は自立。息子夫婦と同居。職業は農業。機会飲酒。喫煙は3pack/年(20〜30歳時)。
アレルギー歴:なし。

参考文献

1)Croskerry P : The importance of cognitive errors in diagnosis and strategies to minimize them. Acad Med 78(8) : 775-780, 2003. PMID 12915363 〈診断エラーにつながるcognitive dispositions to respond(CDRs)の概念と医学・心理学で挙げられている30以上のCDRsが総括されている〉
2)Tokuda Y : Diagnostic error in Japan ; call for papers! J Gen Fam Med 16(4) : 227-228, 2015. 〈「メタ認知」の重要性を提唱するとともに、わが国における「DEM」に対する議論の必要性を促すeditorialsである〉
3)Lafferty FW : Differential diagnosis of hypercalcemia. J Bone Miner Res Suppl 2 : S51-59, 1991. PMID 1763670 〈高カルシウム血症の鑑別のレビュー〉
4)Toduda Y, et al : The causes of hypercalcemia in Okinawan patients ; an international comparison. Intern Med 46(1) : 23-28, 2007. PMID 17202729 〈沖縄県においても高カルシウム血症の原因は悪性疾患が多いが、その中でも成人T細胞性白血病の頻度が高い〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:2188-806X

印刷版ISSN:2188-8051

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?